カエサルとアウグストゥスの関係や違いとは?
「カエサル」と「アウグストゥス」はともに、ローマ皇帝を指して用いられることがある言葉で、死後に神格化されたローマの2人の政治家の名前に由来しています。
ここでは、この言葉の意味や、言葉のもととなった人物について簡単にまとめています。
カエサル
カエサルは紀元前1世紀の共和政ローマの政治家でした。「カエサル」は当時一般的だったローマ人の家族名です。
しかし、カエサルの後継者オクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)がカエサルの名を名乗り、自分の後継者にもカエサルを名乗らせたため、「カエサル」という言葉は徐々に皇帝の一般名詞として使われるようになってゆきました。
これがドイツ語やロシア語などで「皇帝」を意味する単語の語源ともなりました。
さらに後の時代になって、3世紀にディオクレティアヌスが行った改革の中で、「カエサル」は正帝を補佐する副帝の称号になりました。
アウグストゥス
アウグストゥスという言葉には、ラテン語で「尊厳ある者」という意味があります。
これは、カエサルの後継者でローマ帝国の事実上の初代皇帝となったオクタウィウスに贈られた称号です。
共和政ローマでは、元老院からそのような称号を贈られることは大変に栄誉なことで、権力範囲に直接の影響はないものの大きな権威の象徴となりました。
オクタウィウスは自ら王や皇帝を名乗ることはせず、元老院の決定に従って共和政の制度の中でいくつもの職を兼任していました。
しかしこれは事実上の独裁で、時がたつにつれてアウグストゥスという称号も、ローマ皇帝を指す称号の一つになりました。
3世紀に行われた改革の中では、「アウグストゥス」は正帝の称号になりました。