
冬といえば雪にこごえる寒さを思い浮かべますが、ヨーロッパに目を向けると──あれ、意外とあたたかい?なんて感じたことありませんか?たとえばイギリスやフランス、ドイツ西部などの都市では、北海道よりも北にあるのに、冬でも雪が積もらない年が珍しくないんです。じつはこれ、ヨーロッパに吹く風や流れる海、そしてその地形とが絶妙なコンビネーションを生んでいるから。今回はそんな「ヨーロッパの冬がどうしてこんなにあたたかいのか?」という謎を、3つの視点からわかりやすくかみ砕いて解説していきます。
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まずは、ヨーロッパの気候を左右する“大西洋”の役割に注目してみましょう。
ヨーロッパの西側には北大西洋海流という暖流が流れています。これはカリブ海からスタートし、メキシコ湾流を経てヨーロッパへと向かう巨大な海の流れ。この海流が冬でも冷えすぎない空気を沿岸にもたらし、特にイギリスやフランス西部では気温の底上げに大きく貢献しているんです。
暖流によってもたらされるのは、温かさだけではありません。水蒸気をたっぷり含んだ湿った空気が、冷たい空気と混ざることで寒さの“角”が取れ、刺すような寒さが和らぐんです。だから北海道のような乾いた冷え込みにはなりにくいんですね。
続いて、空からやってくる“もうひとつの温もり”、それが偏西風です。
ヨーロッパは偏西風の通り道にあたります。この西から東へ吹く強い風が、大西洋で温められた空気をヨーロッパ中に拡散してくれるんです。とくに冬の時期、この風がバリアのように北極の冷気をブロックしてくれるおかげで、極端な寒波に見舞われにくいという特性があります。
偏西風のもうひとつの働きは、北からの寒気団の侵入を遅らせること。これにより、たとえばロシアからの冷気がヨーロッパ西部に流れ込むのを食い止め、冬の気温が大きく下がらないようにしているんです。
風と海があたたかさを運んできても、それをちゃんと受け止められるかどうかは地形しだい。
ヨーロッパ西岸──たとえばフランス西部やオランダ、ドイツ西部など──は、高い山脈が少なく、海からの空気が内陸へと入りやすい地形になっています。だから暖かく湿った風がスーッと奥まで届き、内陸部もそこまで冷え込まないのです。
逆に、ヨーロッパ南部ではアルプス山脈が北からの冷たい空気の侵入を防いでくれるバリアの役割を果たしています。そのため、イタリア北部やスイス南部では冬でも日差しが穏やかで、寒さがそれほど厳しくならないという効果もあるんです。
このように、ヨーロッパの冬があたたかい理由は、海と風と地形の三重奏。自然が生み出すこの絶妙なバランスが、ヨーロッパを「冬でも住みやすい大陸」にしているんですね。
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