
バルバロイとは
バルバロイとは、古代ギリシャ人が自らと異なる言語を話す異民族を指して呼んだ言葉だ。野蛮人という意味を帯び、文化的優越意識を反映していた。本ページでは、古代ギリシャの民族観や国際関係、文化的価値観などを理解する上で重要なこのテーマについて、より詳しく探っていこうと思う。
バルバロイとは、言葉を知らぬ者のことではない。
我らの秩序を知らぬという理由で、彼らを恐れ、名づけたにすぎぬ。
─ 歴史家・ヘロドトス(紀元前484頃 - 紀元前425頃)
古代ギリシア人は自らをヘレネスと呼んでいましたが、それ以外の非ギリシア人のことは「意味のよくわからない言葉を話す人」という意味でバルバロイと呼んでいました。古代ギリシアの人々には異民族の言葉が「バルバルバル」と聞こえていたようで、そこから転じて「バルバル語を話す人」⇒「バルバロイ」となったのです。
「バルバロイ」はもともとは後進未開の民族を指す言葉でしたが、ペルシア戦争後の前5世紀頃から、ペルシア人への怨念からか侮蔑・軽蔑的な意味が込められるようになり、「野蛮人(蛮族)」や「卑怯者」の意味でも使われるようになりました。そのため英語の野蛮人=バーバリアン(barbarian)の語源にもなっているのです。
民族大移動期、ローマ市内に雪崩れ込むゲルマン民族一派・西ゴート族。ローマ未開の地で暮らす彼らは、ローマ人から見てまさに「バルバロイ(蛮族)」であった。
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