北欧神話における「鉄の森」とは?

ヤルンヴィドで狼を育てる老婆と牧夫(ローランス・フレーリク作)

 

北欧神話における「鉄の森」とは、ヤルンヴィドのことです。人間の住む世界ミズガルズの東に位置する森であるとされ、アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが著した『散文のエッダ』、第一部『ギュルヴィたぶらかし』、および『詩のエッダ』の『巫女の予言』の中で触れられています。

 

 

 

ヤルンヴィドの住人

フェンリル

ヤルンヴィドは、北欧神話において人間の住む世界ミズガルズの東に位置し、女巨人がフェンリルとのあいだにもうけた子供の狼たちと共に住む森であるとされています。

 

フェンリルはロキと女巨人アングルボザの子供で、ミズガルズの大蛇ヨルムンガンドや、死者の国を支配する女神ヘルとの兄弟でもあります。巨大な狼の姿をしており、ラグナロクではオーディンを飲み込みこんでしまいます。

 

スコルとハティ

ヤルンヴィドの森には、ラグナロクにおいて太陽の女神ソールと月の神マー二を飲み込んだスコルとハティも暮らしています。

 

昼夜を消滅させる

スコルとハティは常に太陽(ソール)と月(マーニ)を追いかけており、太陽と月はそれから逃れるために馬車を走らせている・・・北欧神話では太陽と月の運行がこのように語られています。そしてラグナロクではスコルとハティが、ついに太陽と月に追いつき、飲み込んでしまったため、昼夜が失われるという結末が描かれるのです。