ギリシア神話の神々は、世界中の神話の神々と比較して、しばしば「人間臭い」と評されます。確かに権力闘争に愛憎劇などギリシャの神々の物語は、とても人間味に溢れていますが、その理由は、ギリシア神話では神と人間が、同じガイア(大地)を母として生まれたものであるという考え方があるためなのです。
ギリシア神話の神々は、自然はもちろん無機物の中にも宿る存在でもあるため、持つ力の大小、得手不得手があり、決して万能な存在ではありません。
そのため当然神々の間にも上下関係、利害関係が生まれ、嫉妬、妬みなど生々しい感情も伴うようになります。それはそのまま人間の縮図のようでもあり、ギリシア神話における神と人間の距離を象徴するものでもあるのです。
上述した理由による、強大な力を持つ神々の争いや感情的なかけひきは、時に人間たちにとても理不尽な災厄をもたらします。そしてこれは、天災になぞらえることができるでしょう。
地震や台風など、自然がもたらす災厄は、人間にはどうすることもできません。一瞬のうちに命や財産を根こそぎ奪い去る、残酷なものであることさえあります。古代ギリシアの人々は、そういった陣地のおよばない出来事を理解しやすくするために、人間らしい神を創り出したともいえるのです。
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