
ローマ帝国は、イタリア半島だけでなく、北アフリカから西アジアまでの地中海沿岸地域にまで、その勢力圏を広げていました。つまりローマ帝国は世界屈指の多民族国家であったわけで、キリスト教が国教化される以前は、ローマ神話・ギリシア神話信仰(多神教)、ミトラ教、ユダヤ教など実に様々な宗教が信仰されていたのです。
ローマは基本的には、征服地の文化や伝統を抑圧しなかったので、征服した国、地域、民族で信仰されていた土着の宗教は、そのまま残り、国内に影響を与えました。ローマ神話が、ギリシャ、エジプト、シリア等、征服地の神々の影響を強く受けているのもそのためです。
共和政から帝政に移行すると、巨大な帝国に住まう膨大な人民統治するためには、宗教的統制が有効であると踏み、皇帝を神として崇める皇帝崇拝が広められるようになりました。
初代ローマ皇帝アウグストゥスの銅像。
また皇帝崇拝が支配的になっていくと共に、一神教の教義にもとづき、皇帝崇拝を拒否するキリスト教徒への迫害も、苛烈を極めていったのです。
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