
1868年頃のドイツ・ザクセンの機械工場
「産業革命」と「資本主義」──この2つは、まるで車の両輪のように、互いを加速させながら近代社会を形作っていきました。でも「どっちが先?」とか「どう関係してるの?」と聞かれると、ちょっとややこしいですよね。このページでは、産業革命と資本主義がどう関係し合ってきたのか、その因果関係を3つの視点からわかりやすくかみ砕いて解説していきます。
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まずは「資本主義が先」だったという視点からスタート。じつは産業革命の舞台裏には、すでに資本主義的な考え方がしっかり根づいていたんです。
産業革命前のヨーロッパでは、すでに「お金を使ってもっとお金を生む」という考え──つまり利潤追求の精神が芽生えていました。とくにイギリスでは、地主や商人たちが農地や手工業に投資し、利益を得ようとする動きが活発だったんです。
封建制度が崩れ、農民たちが労働者として自由に働けるようになったことも大きな変化。工場を開いたとしても、働いてくれる人がいなければ始まりませんからね。資本主義社会の中で、雇用契約が成立する土台が整っていたわけです。
機械や工場を建てるには初期投資が必要。その資金を貸し出す銀行や投資家の存在も、資本主義的な経済構造があったからこそ成立したものなんですね。資金の流れがスムーズだったからこそ、革新的な技術もすぐに実用化されていったんです。
今度は逆に、「産業革命が資本主義を強めた」って話です。機械と工場が経済の構造をどう変えていったのか、見てみましょう。
機械の登場で分業とマニュアル化が進み、熟練を必要としない仕事が増加。これにより、人間の労働力そのものが“商品”として売り買いされるようになりました。資本家は労働力を安く雇い、大量に製品を作って売るという仕組みが完成します。
大量生産された商品は、より広い市場を必要としました。国内だけでなく海外へも商品を売り込むため、植民地や自由貿易体制の拡大も進行。ここで自由市場の原則が一層強調され、資本主義は国境を越えて広がっていきました。
労働者と資本家──この2つの階級が、産業革命によってくっきりと分かれるようになったのも注目ポイント。つまり、資本主義的な社会構造が“目に見える形”で出来上がっていったんですね。
最後に、両者が“相互進化”したという視点で見てみましょう。どちらか一方だけが原因ではなく、両方が影響を与え合って今の社会を作ってきたというわけです。
資本主義社会では「もっと効率よく儲けたい」という動機が働くため、技術革新がどんどん促進されます。そして、その技術革新が新しいビジネスチャンスや産業を生み、さらなる投資が呼び込まれる。こうした好循環が、両者を一緒に発展させていったのです。
働く人を守る法律や、会社の運営をルール化する仕組みなども、産業革命と資本主義が手を取り合って進化した証。たとえば株式会社制度や労働法といった制度は、どちらの発展にも欠かせませんでした。
産業革命と資本主義は、どちらかが“親”でどちらかが“子”という単純な関係じゃありません。むしろ、お互いに育て合ってきた“パートナー”のような存在だったと言えるでしょう。
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