ルネサンスが大航海時代に与えた影響とは?

 

**ルネサンス**とは14世紀から16世紀の間に西ヨーロッパを中心に起こった古典文化(古代ギリシア古代ローマの文化)復興運動のことです。東西貿易により発展したイタリア諸都市に始まり、西ヨーロッパ全土で思想・宗教・文学・科学・美術・建築・音楽など広範な文化領域で飛躍的な発展がみられました。

 

そして大航海時代とは15世紀後半より開始された、西ヨーロッパ諸国による「地理上の発見」が展開された時代のことです。コロンブスによるアメリカ大陸の「発見」(1492年)、バスコ・ダ・ガマによる喜望峰経由のインド−ヨーロッパ航路の発見(1498年)が皮切りとなり、ヨーロッパとアメリカ・アフリカ・アジアとの交易路が開かれ、「地球の一体化」が促進されました。

 

この大航海時代の幕開けにより世界各地の人々がキリスト教はじめヨーロッパの文化に触れたり、ヨーロッパ諸国の進出先で政治・経済構造が変化するなど、世界史上に大きな転換をもたらしました。

 

 

ルネサンスが大航海時代に与えた影響

大航海時代は、ルネサンス期の繁栄による知識の蓄積・科学的発展で長距離航海が可能になっていたことが背景にあります。ルネサンス期の天文学・地理学の発達や、羅針盤の発明などがなければ、世界史の画期となる「地理上の発見」が展開されることはなかったことでしょう。

 

技術革新と航海術の発展

ルネサンス期には、天文学や地理学の発展により、地球の形や大陸の配置についての理解が深まりました。また、造船技術や航海術の革新により、より長距離の航海が可能となりました。これらの科学的・技術的進歩は、大航海時代におけるヨーロッパ諸国の遠征や新航路の発見を支える基盤となりました。

 

知識と情報の普及

ルネサンス期に発明された活版印刷術は、書籍の大量生産を可能にし、情報や知識が広範に普及しました。これにより、航海者たちは最新の地図や航海日誌、航海術の書物にアクセスできるようになり、新たな航路の開拓や冒険に挑む際の大きな助けとなりました。

 

大航海時代がルネサンスに与えた影響

イタリアルネサンスというのは、地中海貿易によるイタリア諸都市の繁栄に基づいていました。そのため大航海時代の開始=大西洋航路の開拓が加速したことにより、地中海貿易の重要性が下がり、イタリア諸都市の繁栄はストップします。

 

経済的影響

大航海時代の始まりにより、イタリアの都市国家は地中海貿易の重要性を失い、経済的な中心地は大西洋沿岸に移りました。これにより、スペインやポルトガルが新たな経済的中心地となり、新大陸やアジアからの富が流入しました。

 

文化の変遷

大航海時代の発展とともに、ヨーロッパ各地に新たな文化や知識がもたらされました。新しい土地や人々との接触は、ヨーロッパの知識人や芸術家に新しいアイデアや視点を提供し、ルネサンスの文化的発展に影響を与えました。

 

ルネサンスは、大航海時代の幕開けを支える科学的・技術的基盤を築き、ヨーロッパ諸国の航海と探検を可能にしました。大航海時代の発展により、イタリアの繁栄は衰えましたが、新しい文化や知識がヨーロッパ全土にもたらされ、ルネサンスの文化的影響が広がりました。ルネサンスと大航海時代は相互に影響し合い、世界史における重要な転換点を形成したのです。