フランス革命による日本への影響とは?

日本の港に入るオランダ船

 

18世紀に起きたフランス革命は、自由・平等などの近代的価値観を普遍化するきっかけとなり、世界史の中でも最大級の画期となった市民革命です。舞台となったのはヨーロッパですが、その影響ははるか東方の日本にも影響を与えたと言われています。

 

 

 

日本人はフランス革命をいつ知ったのか

フランス革命が勃発した1789年、日本は徳川幕府治世下の江戸時代で、鎖国の真っ只中でした。しかしヨーロッパではオランダに限り貿易を認めており、オランダ船が来日のたび幕府へ提供していた『和蘭風説書』でヨーロッパ情勢はある程度把握していました。

 

そしてフランス革命が起きた数年後に、幕府関係者は『和蘭風説書』で、

 

  • フランスで革命と混乱が起き国王が処刑されたこと
  • オランダやヨーロッパ諸国がフランスに対抗し戦争が起こったこと
  • ナポレオン・ボナパルトの活躍

 

などフランス革命とそれに連なるフランス革命戦争について知ることとなるのです。

 

フランス革命への共感から自由民権運動に

『和蘭風説書』はあくまで幕府関係者の一部しか閲覧できなかったので、フランス革命が日本人一般に広く知れ渡るようになるのは、フランス革命より約100年経った頃です。明治時代に入り、鎖国体制も終わったことで、ヨーロッパからの情報が日本にさかんに入ってくるようになりました。

 

すると、フランス革命で根本とされた、自由や民主主義の概念やルソーの啓蒙思想への共感が広まり、憲法の制定や国会の開設により、国民が政治に広く参加する権利を求める自由民権運動が起こります。

 

フランス革命で「民衆が既存権力を打破し社会体制を変えた」という出来事は、日本の政治体制の変革を目指す日本人に「市民革命の成功例」として受け入れられ、その後の日本史に大きな影響を与えたのです。

 

自由民権運動の中心である中江兆民(1847年〜1901年)は、フランス留学で「フランス革命を経たフランスの政治思想」に影響を受けていたため、「東洋のルソー」と呼ばれていました。