大英帝国は、イギリスとその植民地を合わせて呼ぶ非公式の呼び名です。公式な国名ではないため定義があいまいな部分がありますが、大きく二つの期間に分けることができます。
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イギリスは1600年に東インド会社を設立したのを皮切りに、フランスと激しくしのぎを削りつつ多くの植民地を獲得していきました。1763年のパリ条約でイギリスの優位は確固たるものになり、アメリカとアフリカ、インドにまたがる広大な植民地を確保し、イギリス第一帝国を体現したのです。
しかし度重なる戦争で財政難に陥ったイギリスは、アメリカ植民地に重い税負担をかけるようになります。これに反発して1775年から始まったのがアメリカ独立戦争です。イギリスはこの戦争に敗れ、1783年のパリ条約にてアメリカを手放すこととなりました。
この、16世紀の後半に積極的に海外進出を目指し始めてからアメリカの独立までの期間、特に1763-1783年の20年間を、第一帝国または旧帝国時代と呼ぶのです。
18世紀末から19世紀初頭、ヨーロッパ全土がナポレオン戦争で疲弊する中、イギリスは大陸の戦争から距離を置き、産業革命を原動力に国力の拡大に邁進しました。その結果、イギリスはふたたび植民地を広げ、19世紀後半には、世界の土地の六分の一ほどを手中に収めるほどの大帝国を体現するのです。イギリス第二帝国時代の始まりとなりました。
しかし20世紀に入ろうとする頃には、ドイツなど他の国も急速に工業化を進め、イギリスの圧倒的有利は次第に揺らぐようになります。さらに総力戦となった第一次世界大戦は国力の著しい消耗を招き、戦後は各民族の独立の動きを抑えきれなくなりました。
1931年のウェストミンスター憲章で、イギリス「連邦」が成立。名目上はもう「帝国」ではなくなりました。次ぐ第二次世界大戦後には植民地の独立はさらに加速していき、1997年には最後の植民地であった香港もイギリスの手を離れたことで、実体としても帝国の時代は完全に終わりを迎えたのです。
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