ギリシャ文学の歴史と特徴とは?

ギリシャ文学とは、ギリシャ語で書かれた文学作品の総称であり、ホメロス登場(前8世紀)に始まる、世界でも指折りに古い歴史をもっています。ヘレニズム時代にギリシャ語は東地中海世界の共通語となっていたため、古典文学作品には非ギリシャ人により書かれたものも多いのが特徴です。ギリシャ文学史を大別すれば古代文学/ビザンチン文学/近代文学に分けられますが、近代ヨーロッパ文学の基礎はもっぱら古代ギリシア時代に確立されたものです。

 

 

ギリシャ文学の起源

古代ギリシア文学といえばもっぱら韻文・詩であり、ギリシア神話のアポロンとムーサは詩の守護神と伝えられています。そしてそんなギリシア神話について体系的にまとめられた叙事詩『イーリアス』『オデュッセイア』が世界最古の文学作品とされ、これらがのちのギリシャおよびヨーロッパ文学の基礎となり、ヨーロッパ人の精神性・宗教観念・文化形成に多大な影響を与えたのです。

 

ギリシャ文学の拡大

前4世紀以降、マケドニアの勢力拡大にともないギリシャ文化がオリエント世界に拡散すると、オリエント文化とギリシャ文化が融合しヘレニズム文化が生まれました。ヘレニズム文化が栄えるいわゆるヘレニズム時代に、ギリシャ文学は急速に拡大・発展していったのです。

 

ギリシャ文学の簡易年表

前8世紀

ホメロスによるギリシャ神話を題材にしたギリシャ語最古の文学作品『イリアス』『オデュッセイア』が登場する。またヘシオドスは『神統記』、『労働と日々』を著した。

 

前5世紀

アテナイで演劇文化が勃興し、三大悲劇詩人(アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデス)の登場で、アッティカ地方を中心に文学の大きな発展がみられた。

 

前4世紀

マケドニア王国の東方遠征を皮切りに、ギリシャ文化が東地中海全域に拡大するヘレニズム時代が到来する。ヘレニズム時代にはギリシャ文化の中心はエジプトのアレクサンドリアに移り、古典文学作品を集積した「アレクサンドリア図書館」の開設が象徴するように、ギリシャ文学はいっそうの盛り上がりをみせた。

 

前1世紀

エジプトがローマに征服されヘレニズム時代は終焉を迎えるが、帝政期を通じてギリシャ文学はローマの作家に影響を与え続けた。ローマがギリシャ文学の価値を認め保護したことは後世のヨーロッパ文学に絶大な影響をもたらした。

 

ギリシャ文学の有名作品一覧

  • 『イーリアス』『オデュッセイア』(前8世紀)ホメロス著
  • 『神統記』(前700年頃)ヘシオドス著
  • 『救いを求める女たち』 (前 463) アイスキュロス著
  • 『アンチゴネ』 (前442頃) ソフォクレス著
  • 『アナバシス』『ソクラテスの思い出』(前4世紀)クセノポン著
  • 『歴史』(前2世紀)ポリュビオス著