北欧神話

北欧神話とは、北欧(ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・アイスランドなど)に古くから伝わる、主神オーディンを中心とした様々な神が登場する物語のことです。ゲルマン神話の一部であり、アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが13世紀に著した『エッダ』にその詳細が記述されています。

 

 

北欧神話の特徴

北欧の神話の特徴としては、まず「英雄的な神々」と「悪魔・怪物・巨人」の対立構造があり、簡単にいえば、「世界の終わり(ラグナロク)」の時に両者の決戦が行われ、最終的に世界は崩壊してしまう・・・という顛末になっています。聞くとわかる通り、ギリシア神話と比べて劇的なストーリー展開がなされ、全体的に暗く、あまり救いがありません。これは北欧の寒く過酷な環境が背景にあるのですが、一方で北欧の神々にも、欲に負けてしまい痛い目に合う・・・といったようなギリシアの神々に通ずる人間らしい側面もみられます。

 

北欧神話の神々

  • オーディン:神々の王
  • ヴァーリ:オーディンの息子
  • ウル:狩猟・弓術・スキー・決闘の神
  • エーギル:海の神
  • ソール:太陽の女神
  • テュール:軍神
  • トール:雷神・農耕神・戦神
  • ニョルズ:海の神
  • ノルン:運命の女神。複数形はノルニル
  • バルドル:光の神
  • フォルセティ:正義・平和・真実を司る神
  • ブラギ:詩の神
  • フリッグ:愛と結婚と豊穣の女神
  • フレイ:豊穣の神
  • ヘイムダル:光の神
  • マーニ:月神
  • ヘル:冥界の女神

 

北欧神話の歴史

北欧神話はゲルマン神話の一部なのですが、ゲルマン神話の資料はゲルマン民族が早期にキリスト教化したためほとんど残っていません。対して北欧神話は、北欧が他のゲルマン地域(ドイツやイギリス)と比べてキリスト教の浸透が遅かったため、信仰が完全に廃れる前に文書化にこぎつけることができています。

 

スノッリのエッダ

13世紀、アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが、後輩の詩人に詩の技法を伝授する為北欧神話を著した詩集『エッダ』を作成。現在に伝わる北欧神話はこのいわゆる『スノッリのエッダ』が元になっており、すでに失われた『古エッダ』やスカルド詩なども多く含むため、北欧神話の全貌を理解するための最重要資料となっています。

 

スノッリのエッダは、序文と独立した3部の作品で構成され、第三部「韻律一覧」が1222〜3年に、第一部「ギュルヴィたぶらかし」、第二部「詩語法」は1225年頃執筆されました。

 

北欧神話の復活

北欧は中世にはほぼキリスト教化しましたが、1000年経った現代になって、キリスト教の衰退もあり、古い信仰を復活させようとする運動「ネオ・ペイガニズム」がアイスランドなどで盛んに行なわれるようになりました。アイスランドでは1973年に北欧神話信仰が国家公認の宗教として認められており、2015年からは北欧神話の神々を祀る神殿の建設が開始されるなど、本格的な復活の兆しを見せています。

 

 

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