
産業革命のきっかけとされる、自動織機の飛び杼(とびひ)を発明したジョン・ケイ
産業革命──この歴史的な大転換は、世界中の暮らし方・働き方・モノの作り方を一変させた大事件でした。でもそもそも、「いつ」「どこで」それが起こったのか?という基本を、意外とちゃんと説明できない人も多いかもしれませんね。今回はその核心に迫りながら、産業革命の出発点と初期の広がりを、わかりやすくかみ砕いて整理していきます。
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この革命のスタート地点は、意外と地味な“工場の町”から始まったんです。
産業革命が最初に起こったのはイギリス。18世紀後半のことです。とくにマンチェスター、バーミンガム、リヴァプールといった都市がその中心地として知られています。これらの都市では、農村から流れてきた人々が労働者となり、機械による大量生産が一気に進みました。
イギリスが最初だった理由にはさまざまな要素があります。豊富な石炭と鉄、世界に広がる植民地と貿易網、そして資本主義と特許制度が整っていた社会構造。これらが奇跡的に揃っていたからこそ、産業革命の“パズル”がここで最初に完成したんです。
では、いつから「産業革命」と呼ばれるような動きが始まったのでしょうか?
おおむね1760年代が「産業革命の始まり」とされています。ちょうどこの頃に蒸気機関の改良(ジェームズ・ワット)や、繊維機械の発明が相次いで登場し、手作業中心だった生産体制が機械中心に切り替わっていきました。
蒸気機関車や工場制手工業の発展によって、1830年代にはイギリス全土に産業革命が浸透。ロンドンの郊外まで工業都市化が進み、輸送や通信インフラも整備されはじめます。この頃には鉄道・製鉄・石炭・綿織物の各産業が爆発的に成長していました。
この革命は、ただの「技術革新」ではありません。社会全体のしくみを揺るがす動きだったんです。
産業革命は綿織物産業から始まりました。飛び杼(とびひ)、ジェニー紡績機、水力紡績機などが相次いで発明され、布を手作業で織る時代が終わるんです。これにより衣料が大量に安価で生産できるようになり、庶民の暮らしも大きく変わっていきました。
ジェームズ・ワットの蒸気機関改良(1769年特許取得)は、産業革命の象徴的出来事。これにより工場だけでなく、蒸気機関車・蒸気船といった交通機関も登場し、「物流革命」が始まります。都市と都市、人と人がつながって、社会のスピード感が一気に加速しました。
産業革命が最初に起こったのは18世紀後半のイギリス。綿工業と蒸気機関から始まり、やがて社会全体の姿まで変えてしまうような大きな動きへと発展していったんです。まさに、現代社会の“始まりの音”だったと言えるでしょう。
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