ギリシャ神話における「川の神」とは?

ヨアヒム・パティニール画『ステュクス川を渡るカロン』。ステュクスは死後の世界の象徴でもあり、渡し守のカロンはステュクス川を渡り死者の魂を冥界に運んだとされる。

 

ギリシア神話では、自然を司る様々な神が登場しますが、「川の神」として知られているのが「ステュクス」という女神です。ここでは、ステュクスについて簡潔に解説したいと思います。

 

 

 

ステュクスの特徴

ステュクスは、海神であるオーケアノスと水の女神であるテテュスの3,000人を超える子の長女として生まれました。また、後にクレイオスの息子であるパラスの妻となり、勝利の女神・ニーケー、力が神格化されたクラトス、熱意が神格化されたゼーロス、暴力が神格化されたビアーを授かることなります。

 

ステュクスの逸話

ゼウス率いるオリュンポス勢力と、クロノス率いるティーターンとの間で争われたティーターノマキアーと呼ばれる有名な戦いがあります。ステュクスはティーターン側の血族であったものの、父オーケアノスの助言により、早々に子どもと共にゼウス側に寝返ることを決めています。

 

ゼウスから特別な権利を授けられる

ゼウスはステュクスの行動を称えて、彼女に神を罰することの出来る特別な権利を与えました。ステュクスの水を飲んで宣言をした神は、もし宣言を守らなかった場合、1年間仮死状態になり、9年間追放されるのです。この逸話から、ステュクスの水は「特別な水」(猛毒だとも神聖だとも)であると言い伝えられています。