北欧神話における「大地の神」とは?

北欧神話における「大地の神」とは、最高神オーディンを頂点とする「アース神族」の一員で、「大地の化身」として言い伝えられるヨルズがまさにそれにあたります。「ユミルの肉」や「フリッグのライバル」、「オーディンの花嫁」など、比喩的な呼び名でも扱われることの多い神でもあります。

 

 

 

大地の神ヨルズの来歴

スノッリ・ストゥルルソンによる『エッダ』における一章、『ギュルヴィたぶらかし』よると、ヨルズは最高神オーディンの妻の一人であり、北欧神話で最も強く、人々に愛された雷の神、トールの母とされています。

 

オーディンの妻であり娘

オーディンが「万物の父」であるため、ヨルズはオーディンの「妻」であると同時に「娘」であるともされており、しばしばその立場で登場することもあります。またヨルズの母親は、夜の女神ノートと言われています。

 

ヨルズと同一視される存在

『エッダ』の冒頭には、『巫女の予言』という詩が引用されています。これは巫女ヴォルヴァが、オーディンに世界の創造と終末、そして再生までの顛末を語る内容で、北欧神話を読み解くうえで大変重要な一説になっています。

 

この詩の中に登場する「フロージュン(フィヨルギュン)」も、トールの母親であると言われていることや、広義での大地を意味する言葉であることから、ヨルズと同一人物であると言われています。

 

北欧神話をモチーフにしたドイツの楽劇『ニーベルングの指環』に登場する大地の女神エルダは、ヨルズに相当する存在として描かれる。