アイスランドの国章
現在使われているアイスランドの国章は、1944年にデンマークから独立した際に制定されたもので、国旗柄の盾の周囲に、4体の守護者「ランドヴェーッティル」が描かれているのが特徴的です。デザインは、13世紀にデンマーク国王が、アイスランド征服のために魔法使いを派遣したところ、4体の守護者により阻まれたという伝承から着想を得たものになっています。
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アイスランドの国章には、国の神話と伝統が色濃く反映されています。
などの、各要素はアイスランドの自然と歴史に深い意味を持ち、国のアイデンティティを象徴しています。
アイスランドの国章には、国の神話と伝統が色濃く反映されています。各要素はアイスランドの自然と歴史に深い意味を持ち、国のアイデンティティを象徴しています。
盾はアイスランドの国旗を模しており、鮮やかな青地に白と赤のクロスが配置されています。この青はアイスランドの国民色であり、古くから国の象徴色とされています。青はアイスランドの広大な空と周囲を取り囲む海を象徴し、国の自然美を反映しています。
雄牛(Gridungur)はアイスランド南西部の守護霊です。強力で頑丈なこの生き物は、アイスランドの農業の重要性と地域の肥沃な土地を象徴しています。雄牛は地域を守る力強さと安定を表しており、アイスランド人にとって重要な存在です。
鷲(Gammur)はアイスランド北西部の守護霊であり、この地域の厳しい自然環境と生命の力を象徴しています。鷲は高い飛翔能力から、自由と視野の広さを表し、アイスランドの人々が直面する困難を乗り越える力を象徴しています。
竜(Dreki)はアイスランド北東部の守護霊で、この神秘的な生き物はアイスランドの荒涼とした火山地帯を象徴しています。竜は変化と再生の力を持ち、アイスランドのダイナミックな地質活動と創造的なエネルギーを表しています。
巨人(Bergrisi)はアイスランド南東部の守護霊で、この地域の山々と厳しい自然環境を象徴しています。巨人はその強大な力で地域を守り、アイスランドの厳しい気候と戦う強さと耐久力を表しています。
これらの守護霊は、アイスランドの国土を四方から守るとされ、国章に描かれることで、アイスランドの自然と文化の豊かさを世界に示しています。
アイスランドの国章は、長い歴史を通じてさまざまな意匠が採用されてきましたが、それぞれのデザインは時代の変化と共に国のアイデンティティを反映しています。
この時期の国章は「12のアイスランドコミュニティー」を象徴しており、盾には青と白(銀)の横縞が6本ずつ交互に配置されていました。このデザインは、アイスランドの統一されたコミュニティーを表現するとともに、海を渡る航海の歴史を象徴していると考えられます。
出典(作者:Samhanin 提供:CC BY-SA 3.0)
ノルウェー植民地時代には、ノルウェーの国章の意匠を取り入れつつ、それに地元の色彩を加えたものが使用されました。具体的には、ノルウェーの盾とライオンの色を変え、その下にアイスランドの伝統的な青と白(銀)の横縞を挿入して、アイスランドの特色を表現しました。
出典(作者:Ssolbergj 提供:CC BY-SA 3.0)
この期間には、赤色の盾に王冠を被ったタラが描かれました。タラはアイスランドの特産品であり、経済的に重要な存在でした。この国章は、アイスランドがタラ漁業で繁栄していたことを世界に示すものでした。
出典(作者:Ssolbergj 提供:CC BY-SA 3.0)
1903年からは青色の盾に白い隼が描かれ、アイスランドの独立と自由を象徴するデザインが採用されました。
出典(作者:Fenn-O-maniC 提供:CC BY-SA 3.0)
1919年からは、4体の守護者が盾を囲む形で描かれるようになり、これはアイスランドの自然と伝説を強く意識したものでした。
1944年7月17日からは現在の国章が採用され、青い盾の上にシルバークロスが配され、その中に赤いクロスが描かれるデザインになりました。また、四体の守護霊がそれぞれの方角を守る形で配置され、アイスランドの文化と神話に根ざした深い意味が込められています。
このように、アイスランドの国章は、その時々の政治的、文化的背景に合わせて進化し続けており、国のアイデンティティを色濃く反映しているのです。
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