産業革命最大の「きっかけ」とは何か

産業革命って、いきなり何かが爆発的に始まったわけじゃないんです。実は、その裏には「じわじわと積み重なった変化」がいくつもあるんですが──その中でも「最大のきっかけ」とされるのが、じつは農業の進化なんです。え?工業じゃなくて農業?と思うかもしれませんね。でも、ここがすごく大事なポイント。さらにもう一つ見逃せないのが、世界規模の戦争で勝ち取った植民地と市場の存在。今回は、そんな産業革命のスタート地点について、わかりやすくかみ砕いて解説していきます。

 

 

農業革命が下地をつくった

産業革命の前に起きた農業革命。これがなければ、イギリスに産業革命の火はともらなかったとも言われているんです。

 

囲い込み(エンクロージャー)運動

18世紀のイギリスで進んだのが、エンクロージャーという動き。地主たちが共有地を囲い込んで、効率よく牧畜や農業を行うようになりました。これによって農業の生産性がぐっとアップ!

 

余剰人口の発生

でもその裏では、土地を失った農民が都市部へと流れ込んでいきます。こうして都市で働く労働力が豊富に生まれ、工場の発展に欠かせない“人手”が確保されていったわけです。

 

植民地と市場の拡大

農業だけではもちろん足りません。イギリスの産業革命を加速させたのは、戦争に勝って手に入れた海外市場の存在です。

 

フレンチ・インディアン戦争の勝利

1754年から始まったフレンチ・インディアン戦争(北米での英仏戦争)は、イギリスにとって植民地支配の拡大に直結しました。1763年のパリ条約でフランスからカナダやインドの拠点を奪取し、これにより原料の供給源製品の売り先も広がったのです。

 

フレンチ・インディアン戦争においてイギリスの勝利を決定づけたシグナルヒルの戦い(1762年)

 

帝国ネットワークの形成

イギリスはこの戦争をきっかけに、「原料は植民地から、製品は世界中へ」というグローバルな商業ルートを確立していきます。アジア、アフリカ、アメリカと、まさに地球規模での“市場拡大”が実現したんですね。

 

技術と資本の土壌が整っていた

いよいよ現場では、「ものづくり」の大改革が進んでいきます。その裏にはちゃんと「お金」と「ひらめき」があったんです。

 

繊維機械の登場

一番最初に工業化が始まったのは繊維産業でした。ジェニー紡績機水力紡績機の登場で、布を大量に早く作れるように。職人の時代から、機械の時代へと移り変わっていきます。

 

蒸気機関の革新

そして決定打となったのがジェームズ・ワットによる蒸気機関の改良。これによって、工場は水車のある場所に限らず、都市部にも展開できるようになりました。まさに“どこでも革命”が始まったのです。

 

こうして見てみると、産業革命は農業の進化だけでなく、「戦争で得た市場と資源」が大きな後押しをしていたんですね。とくにフレンチ・インディアン戦争の勝利は、イギリスに巨大なアドバンテージをもたらした重要な転機だったといえるでしょう。