スペイン料理の歴史

スペイン料理は、長い歴史の中でイベリア半島を行き交った様々な民族の影響を大きく受けています。

 

スペインの歴史をたどると、スペイン料理の歴史も見えてきます。

 

紀元前には古代ギリシア人がオリーブを、フェニキア人がブドウを伝え、古代ローマ人がオリーブオイルの製法とにんにく、小麦、豚を伝えたとされています。

 

8世紀末から9世紀初めにイスラム教徒がサフランを伝えたと言われています。

 

このように、スペイン料理に欠かせない食材はさまざまな民族によってもたらされました。

 

 

レコンキスタまで、スペインを支配した様々な民族

スペインに最初に定住したのはイベリア人で紀元前5000年から紀元前3000年の間にイベリア半島にやってきたと考えられています。

 

紀元前900年ごろにケルト人が定住し、紀元前201年にはローマ人によるローマ帝国がイベリア半島を支配しました。

 

400年ごろにはゲルマン民族が流入し、514年から711年までゲルマン民族による西ゴート王国が存在。

 

711年にアフリカからやってきたイスラム教徒が西ゴート王国を滅ぼし、756年から1031年までイスラム教徒の後ウマイヤ朝が支配。

 

この時期にスペインはイスラム文化の影響を大きく受けました。

 

一方、イスラム勢力に対抗するため、718年から1492年にかけてキリスト教徒によるレコンキスタ(国土回復運動)が開始。

 

1232年から260年間イベリア半島南部を支配していたイスラム教徒のナスル朝(=グラナダ王国)を1492年に征服し、イベリア半島からイスラム勢力を一掃しました。

 

現在のスペインの基礎となるイスパニア王国は1469年に誕生しましたが、それ以前のスペインにはイベリア人、ケルト人、ローマ人、ゲルマン民族、イスラム教徒とさまざまな文化を持つ民族が流入し、影響を与えていきました。

 

諸民族がスペイン料理にもたらしたもの

先にも記したように、長い歴史の中でイベリア半島にはさまざまな文化を持った人々が住んでいました。

 

現在、スペインはオリーブ、オリーブオイルとも世界NO.1の生産国ですが、オリーブは紀元前、古代ギリシア人によってもたらされ、オリーブオイルはローマ帝国時代にローマ人によりもたらされたものです。

 

スペイン料理に欠かせないにんにくもローマ人によってもたらされたことから、スペイン料理の源流はローマ帝国時代にあるともいわれています。

 

また、スペイン料理に大きな影響を与えたのが、700年以上もイベリア半島を支配していたイスラム文化です。

 

イスラム教徒はイベリア半島に米、なす、玉ねぎを普及させ、スペイン料理に革新を起こしたのです。

 

新大陸発見後、スペインには中南米原産の食材も

1492年にコロンブスがバハマ諸島のサンサルバドル島に到着して以降、スペインに大航海時代が訪れ、中南米の国々を植民地化していきました。

 

南米原産のトマト、じゃがいも、かぼちゃ、唐辛子、中南米原産のピーマンなどがスペインにもたらされ、食されるようになりました。

 

アンダルシア名物の冷製スープ「ガスパチョ」にはトマトが、スペインのオムレツ「トルティーヤ」やピリ辛ソース付きポテトフライ「パタタスブラバス」にはじゃがいもが不可欠です。

 

ピーマンや青唐辛子を使った料理もスペインでは定番。

 

スペイン料理に使われる野菜を見ると、中南米原産のものがたくさんあります。

 

新しいスペイン料理の動き、ヌエバ・コシーナ

郷土の味に富んだスペイン料理ですが、1970年代にフランスで起こった「ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)」に刺激を受け、新しい素材や調理技法を使い独創的にアレンジしたスペイン料理が登場しました。

 

「ヌエバ・コシーナ(新しい料理)」と呼ばれ、アルギン酸や液体窒素などを用いて素材を瞬時に固めたり、凍らせたりと科学実験のような手法で今までにないスペイン料理を生み出し、世界中から注目を集めました。