絶対王政のメリット・デメリットとは|専制の問題点を知ろう

絶対王政は、国王が絶対的な権力を握る政治体制のことです。以下のようにメリットとデメリットが非常に極端な諸刃の剣なので、維持するのは大変です。

 

 

絶対王政のメリット

国民の合意や議会の場での承認なく、王の命令が通るので「政策決定のフットワークが軽い」というのが一番のメリットでしょう。戦争や大災害など、国家の緊急時で話し合いをしている余裕などない時、プラスの方向に働く場合が多いです。

 

王が優秀だと強力なリーダーシップのもと素晴らしい法案や決定が次々と通り、国家の繁栄に繋がります。

 

絶対王政デメリット

その一方で絶対王政になると、王の権力に歯止めが効かなくなるという危険があります。王権のための戦争、王威のための宮殿建設などに多額の予算をつぎ込んだり、そのせいで財政難になっても国民の合意なく課税できたり…

 

王の意向がそのまま国の方針になるので、国が潤っている時は崇敬の念を集めますが、逆に国が財政難に陥ったりして国民の生活が苦しくなると、その反発を一身に集めることとなります。

 

大きすぎる弊害により市民革命で打倒される

なので例えばフランスでは、「朕は国家なり」で有名なルイ14世は絶対王政の典型的体現者とされる一方で、彼が邁進した拡大戦争やベルサイユ宮殿の建設などで国家財政が危機に瀕し、後のフランス革命の導火線となってしまったことは有名な話です。

 

絶対王政はメリットもありますが、デメリットが大きすぎるので、18世紀以降は、産業革命にともなう資本主義社会の発展を背景に、発言力を持った市民により打倒されていきました。

 

フランスにおけるバスティーユ襲撃を描いた絵。ブルボン絶対王政を打倒したフランス革命の号砲となった。

 

絶対王政の問題点に学ぼう

絶対王政は、国王が絶対的権力を持つ政治体制で、迅速な政策決定がメリットですが、王の権力に歯止めがないためリスクも大きいということですね。優秀な王の下では国が繁栄しますが、王の意向が国の方針を左右する以上、フランスのルイ14世が、拡大戦争や宮殿建設で国家財政を圧迫し、フランス革命の引き金となったように、国民の苦境を招くこともあるのです。

 

そんなこともあり18世紀以降、資本主義社会の発展と共に市民の発言力が増し、絶対王政は次第に打倒されていった訳です。しかしそんな絶対王政時代から、現代民主主義時代において学べることは多岐にわたります。

 

第一に、権力の集中がもたらすリスクに対する警戒です。絶対王政の歴史は、権力が一箇所に集中することの危険性を教えています。これは、現代の民主主義システムにおいても、権力の分散とバランスが重要であることを示唆しています。

 

第二に、絶対王政は政策決定の迅速性をもたらす一方で、国民の声が反映されにくい政治体制であったことから、国民の意志を政治に反映させる民主主義の重要性が浮き彫りになります。国民の参加と代表の重要性、政策決定プロセスにおける透明性と公正性が、民主主義の根幹をなす要素です。

 

さらに、絶対王政の時代における財政危機や社会的不平等は、現代における経済的公正性と財政の持続可能性の必要性を教えてくれます。さらに絶対王政が市民革命によって終焉を迎えた歴史は、社会変革の可能性と市民の力を示しています。

 

これらの教訓は、現代の民主主義体制の設計と運営において、権力の乱用を防ぎ、国民の福祉と権利を保護するための指針となることでしょう。