
ハンガリーの国土
ヨーロッパ中部に位置するハンガリーは、海に面していない内陸国でありながら、広々とした平原と温暖な気候、豊かな水資源を兼ね備えた“草原と川の国”。古くは遊牧民の拠点として、そして現在は農業大国として、地理の恩恵を受けて発展してきました。このページでは、そんなハンガリーの地理的特徴を「地形」「気候」「環境」の3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて解説します。
ハンガリーの地形は、ヨーロッパでも珍しいほどに“平らで広い”のが特徴です。
ハンガリーの国土の大部分はパンノニア平原に属し、標高100~200メートルほどのゆるやかな平地がどこまでも続いています。このため、耕作地として非常に優れており、古代から農業が盛んに行われてきた地域です。
北部と北東部にはカルパティア山脈の支脈が広がり、やや標高の高い丘陵地帯や小山が点在していますが、それでも山岳国というよりは“丘と草原の国”といった趣。登山よりも乗馬や放牧の風景が似合う地形です。
ハンガリーの気候は、内陸らしく季節の変化がはっきりと現れます。
夏は暑く乾燥し、冬は寒く霜が降りる──これがハンガリーの典型的な気候です。特に7月~8月の気温は30℃を超えることも多く、逆に1月には-10℃前後まで冷え込む地域も。農業の季節サイクルもこの気候に強く影響されています。
年間を通しては降水量はさほど多くなく、春と秋にまとまって雨が降る傾向にあります。乾燥気味の夏はブドウの栽培に適しており、世界的にも知られるトカイワインなどの生産につながっています。
平原のなかに豊かな水と湿地があるという、ハンガリーならではの自然環境が広がっています。
ドナウ川はハンガリーの中央部を南北に貫いて流れ、首都ブダペストもこの川の両岸に発展しています。ティサ川も東部の重要な水系で、これらの河川は灌漑、水運、都市の発展に大きな影響を与えてきました。
ホルトバージ大平原は、ヨーロッパ最大級の天然草原地帯として知られており、ユネスコ世界遺産にも登録されています。独特の湿地やステップ(草原)には多様な野鳥が生息し、牧畜文化と共に保存されているんです。
このようにハンガリーは、平らで広く、川と草原に育まれた地理の国。海はなくとも、水と大地の恵みに満ちた風土が、人々の暮らしと文化をずっと支えてきたんですね。
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