ロシアの地理的特徴

ロシアの国土

 

世界で最も広大な面積を持ち、ヨーロッパとアジアの両方にまたがるロシア。その地理はスケールがまるで違います。シベリアの永久凍土から黒海沿岸の温暖地帯、ウラル山脈をはさんだ大地の分断と統合──どこを切り取っても地理の教科書のような場所なんです。このページでは、この巨大な国家の地理的特徴を、「地形」「気候」「環境」という3つの視点からわかりやすくかみ砕いて解説していきます。

 

 

地形地理

ロシアの地形は、壮大で、変化に富み、それでいて一貫した特徴も持っています。

 

ヨーロッパロシアとアジアロシア

ウラル山脈を境に、西側はヨーロッパロシア、東側はアジアロシアと呼ばれます。西側は比較的平坦で、農耕に適した東ヨーロッパ平原が広がりますが、東側はシベリア台地中央シベリア高原、さらには山地や火山の多い極東地域へと一気に地形が荒々しくなるんですね。

 

ロシア南部と沿岸部の地形

南部のカフカス山脈にはエルブルス山(5,642m)というヨーロッパ最高峰があり、またカスピ海沿岸では標高が0メートル以下の盆地地帯も広がっています。北側は氷の海──バレンツ海やラプテフ海などに面し、海岸線はほとんど凍結した世界です。

 

気候地理

ロシアの気候といえば「寒い国」というイメージが強いですが、実際はかなりの地域差があります。

 

亜寒帯気候と寒帯気候

国土の大部分は亜寒帯(タイガ)気候に属し、冬は長く、寒さが厳しい。特にシベリア内陸部は世界有数の寒冷地で、オイミャコンでは-60℃を下回ることもあります。さらに北極圏に近い地域では寒帯気候(ツンドラ)が広がり、樹木すら育たない地域もあるんです。

 

西部や南部は温暖な地域も

とはいえ、モスクワやサンクトペテルブルクなどの西部は、偏西風の影響を受けて比較的穏やか。黒海沿岸などは地中海性気候に近い温暖な気候で、リゾート地も多いという意外な一面もあります。

 

環境地理

広さゆえに、ロシアの自然環境は“地球の縮図”といっても過言ではありません。

 

タイガとツンドラの支配

タイガ(針葉樹林帯)はロシアの象徴とも言える存在で、国土の3割以上を占めます。さらに北にはツンドラが広がり、夏でも氷が解けきらない永久凍土の世界が広がっています。こうした環境は、野生動物や植物にとっても特殊な生態系を形成しているんですね。

 

豊富な資源とそのリスク

石油・天然ガス・石炭・金属鉱物など、ロシアは地下資源の宝庫。特にシベリアや極東では広大な未開発地に資源が眠っており、国家経済の大黒柱となっています。一方で、永久凍土の融解森林火災など、環境変動によるリスクも深刻化しています。

 

このように、ロシアは世界最大の国土を持つがゆえに、地形も気候も自然も桁外れのスケール。極端に寒い地域から温暖な海沿いまで、地理的多様性に富んだ“地球の縮図”のような国なんです。