第一次世界大戦は、多くの国々や民族が衝突し、世界の地図を塗り替えた一大事。その中でも、「民族自決」の思想が大きな影響を与え、新たな国家を生み出す一方で、新たな紛争を引き起こすきっかけにもなりました。

 

 

 

民族自決の原理と第一次世界大戦

民族自決とは、各民族が自分たち自身の運命を自分たち自身で決定するという権利を主張する思想です。この概念は、第一次世界大戦中とその後の平和会議において、特にアメリカのウィルソン大統領によって強調されました。彼の「十四か条の平和原則」は、民族自決の権利を基本的な平和原則の一つとして位置づけました。

 

民族自決と新国家の誕生

この原則に基づき、多くの新国家が誕生しました。ポーランド、ウクライナ、アルメニアなど、それまで大国に支配されていた多くの地域が独立を宣言しました。また、旧オスマン帝国領内でも、トルコ革命によりトルコ共和国が誕生しました。

 

民族自決の課題

しかしながら、民族自決の原理が平和をもたらした一方で、一部では新たな紛争を引き起こす原因ともなりました。各地で国境線が引き直される中、ある民族が多数派を形成する一方で、他の民族が少数派となり差別や抑圧を受ける事態が生じたためです。それにより生まれた緊張は、第二次世界大戦の原因の一つとなりました。