王権神授説の批判者といえば誰?

王権神授説とは、中世ヨーロッパで王や皇帝が神の意志によってその地位に就いたとする考え方です。この思想は、王権を強化するため、または王権に対する反乱や批判を抑えるために用いられました。しかし、王権神授説には批判的な声も多く、そのなかには哲学者、神学者、さらには政治家も含まれています。本記事では、王権神授説の批判者とその主張について詳しく見ていきましょう。

 

 

王権神授説の批判者:哲学者たち

ジョン・ロック

イギリスの哲学者ジョン・ロックは、自然法と社会契約論を基盤に王権神授説を批判しました。ロックによれば、王や皇帝の権力は人々の同意に基づくものであり、神の意志によって与えられたものではありません。

 

バロン・ド・モンテスキュー

フランスの哲学者モンテスキューは、『法の精神』において、王権の制限と分権化の必要性を説いています。これは、王権神授説が強権的な支配を生む可能性に警鐘を鳴らすものでした。

 

王権神授説の批判者:神学者たち

マルティン・ルター

宗教改革の立役者であるマルティン・ルターも、王権神授説に批判的でした。ルターは神の意志が王権を直接的に支配するものではないと考え、聖書の解釈を通じてその批判しています。

 

トマス・アクィナス

カトリック教会の重要な神学者であるトマス・アクィナスもまた、王権神授説に一定の批判を加えました。アクィナスは、人々の合意や共同体の福祉が王権の正当性の根拠であると主張しています。

 

王権神授説の批判者:政治家たち

オリバー・クロムウェル

イギリスの革命家オリバー・クロムウェルは、実際に王制を廃止し共和制を樹立するなど、王権神授説に極端に反対しました。クロムウェルは、神の意志による王権よりも、人々の意志に基づく政治を重視したのです。

 

王権神授説に対する批判は多岐にわたり、それぞれの時代や背景に応じて様々な形で表現されました。哲学者は理論的な立場から、神学者は信仰と聖書の解釈から、政治家は具体的な行動によって、王権神授説の問題点を指摘しています。これらの批判が結実した形が、現代の民主主義や権力分立、法による支配などと言えるでしょう。