「パエリア」は地中海に面したバレンシア州の名物料理です。「パエジャーラ」と呼ばれる、持ち手がふたつ付いた、平底の浅いフライパンで、米・野菜・魚介類・肉などを炒め、そこにサフランを加えて炊いて作ります。
日本で最もよく知られたスペイン料理ともいえますが、そんな料理のルーツはどこにあり、またどのような発展を遂げて今のような形になったのでしょうか。
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パエリアに欠かせない米に関しては、8世紀に中東からアフリカを経て、イベリア半島に進出してきたアラブ人によりもたらされました。スペインの温暖な気候は稲作に適し、古代ローマ人が建設した灌漑設備が残っていたことから、地中海沿岸のバレンシアで稲作がさかんに行われるようになりました。
そしてそのバレンシアで、農民が、水田周りで捕れる鶏やウサギ、野菜などを、米と一緒に炊いて食べたのが、パエリアの起源だといわれているのです。
パエリアといえば、海の幸をふんだんに使うイメージが強いかもしれませんが、原初のパエリアでは山の幸が使われていたのですね。
現在でもバレンシア風パエリアは、鶏やウサギ、モロッコインゲン、白いんげん豆、トマトなど、山の幸が中心となっています。
スペインでは、週末に家族や友人が集まって食卓を囲むことが多いですが、パエリアはそういう時の定番料理です。パエリア調理用の窯がある家庭も珍しくありません。スペインではパエリアを食べながら、和やかに談笑する風景がよく見られるのです。
昔は、パエリアを作るためには、薪割りや火起こしなど力仕事が必要だったことから、「パエリアは男の料理」と言われ、日ごろ忙しい奥さんの代わりに、週末に旦那がパエリアを作るという慣習もあったようです。
パエリアを炊く人のことを、女性なら「パエジェーラ」、男性なら「パエジェーロ」と呼びます。
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