大航海時代がヨーロッパにおよぼした影響とは?

 

大航海時代に入り、ポルトガルスペインを筆頭に、ヨーロッパ諸国は我先にと新世界やアジアの富を目指して海外進出を開始。ヨーロッパの通商圏が地球規模に拡大する「地球の一体化」と呼ばれる現象が起こりました。そしてこの地球の一体化がヨーロッパに与えた影響は実に様々です。

 

 

近代化の原動力に

「地球の一体化」により、それまで未知とされたアジアや南北アメリカの状況がヨーロッパの人々にも知られるようになりました。そして世界中のあらゆる物や情報がヨーロッパに集約されるようになり、これによる富の蓄積はのちに産業革命へと繋がり、ヨーロッパが世界をリードする原動力となっていくのです。

 

キリスト教の拡大

ヨーロッパ人の海外進出により、それまでヨーロッパ領域に留まっていたキリスト教の布教活動も世界規模に拡大しています。宣教師たちはアジア、アフリカ、南北アメリカ大陸に進出し、現地の人々にキリスト教を広める努力をしました。これにより、キリスト教は世界各地に根付き、現代のグローバルな宗教の一つとしての地位を確立しました。

 

勢力図の変化

ヨーロッパは11世紀以降の十字軍遠征をきかっけに、東地中海地域経由で香辛料貿易を活発に行っていました。しかし15世紀半ば、東地中海最後の砦ともいえる東ローマ帝国(ビザンツ帝国)がオスマン帝国に征服され、東方への交易ルートが遮断されてしまいます。

 

ポルトガル・スペインの台頭

そこで商人達は、オスマン台頭による損失を補う「血路」として大西洋への進出を開始。1498年にはヨーロッパ・インド航路を発見し、アジア香辛料貿易が再開され、大西洋進出で地理的に有利なポルトガルスペインが、それまで地中海交易で繁栄を謳歌していたイタリア諸国に代わり、ヨーロッパの主役に躍り出るようになるのです。

 

料理文化の革新

アメリカ原産の貴重な作物(トウモロコシ、落花生、トマト、タバコ等)がヨーロッパにもたらされ、ヨーロッパの料理文化に大きな革新が起こりました。これらの新しい食材は、ヨーロッパの食生活を一変させ、地域ごとの料理の多様性と豊かさをさらに広げました。また、これらの作物の導入により、食料の安定供給が可能になり、人口増加にも寄与しました。

 

価格革命

大航海時代に「発見」されたアメリカ大陸には豊かな銀山が存在しました。発掘された大量の銀がヨーロッパに流入し、物価の上昇から「価格革命」と呼ばれる経済秩序の革新が起こりました。銀の流入によりインフレーションが発生し、経済構造が大きく変わり、貿易や商業活動がさらに活発化しました。

 

科学と知識の進歩

大航海時代はまた、科学と知識の進歩にも大きな影響を与えました。新たな土地や文化、動植物の発見は、ヨーロッパの学者たちにとって刺激となり、博物学や地理学、天文学の発展を促しました。航海技術や地図製作技術の向上もこの時期に顕著であり、これらの技術はその後の探検や貿易において重要な役割を果たしました。

 

社会の変革

大航海時代に伴う経済の変動と新しい知識の流入は、ヨーロッパ社会にも大きな変革をもたらしました。封建制度の崩壊とともに、商業資本主義が台頭し、都市の成長が加速しました。これにより、新しい社会階層が形成され、ヨーロッパの社会構造が大きく変わりました。

 

大航海時代は、ヨーロッパの歴史に多大な影響を与えました。新しい世界との接触を通じて、ヨーロッパは経済的にも文化的にも大きく発展し、近代社会への基盤を築くこととなりました。この時代の経験は、ヨーロッパの世界観を広げ、他の大陸との関係を深めるきっかけとなりました。