
フランスの産業革命を強力に推進したナポレオン三世(在位:1852~1870年)
産業革命とフランス革命──どちらも18世紀末から19世紀初頭にかけてヨーロッパを激変させた歴史的大事件ですが、実はこの2つ、まったく別物のようでいて、深いところでつながっているんです。しかも、時系列的にもほぼ同時期に起きているからこそ、「どっちが先?」「関係あるの?」といった疑問も湧いてきますよね。今回は、この2大革命の前後関係と相互の影響について、わかりやすくかみ砕いて解説していきます。
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まずは基本の「どっちが先か?」という問いから見ていきましょう。
産業革命は、だいたい1760年代ごろにイギリスで始まったとされています。蒸気機関や紡績機などの発明をきっかけに、工場制機械工業が爆発的に発展していったんですね。
一方のフランス革命は、1789年に始まりました。民衆がバスティーユ牢獄を襲撃し、絶対王政を倒したという劇的な事件です。つまり、産業革命のほうが少し早く始まっていたことがわかります。
時系列的には産業革命が先。でもそのあとに起きたフランス革命も、実は産業革命の「時代の空気」を色濃く反映していたんです。
産業革命によって、都市に商工業を営むブルジョワジー(市民階級)が増え、彼らが政治参加を求める声を強めていきました。こうした市民たちがフランス革命の中核を担ったという点で、産業革命は背景としてしっかり影響していたんです。
機械の力で大量生産が可能になり、「自由な経済活動」への期待が高まりました。この思想は、重商主義や身分制を否定する自由主義的な思想にもつながり、絶対王政を揺るがす土台になっていきます。
でも、影響は一方通行じゃありません。フランス革命もまた、産業革命の流れに大きな波を投げかけていたんですよ。
フランス革命による社会の大混乱は、国内の産業投資や技術革新をストップさせてしまいました。そのためフランスの産業革命はイギリスより遅れたとも言われているんです。
「人はみな平等」という革命のスローガンは、労働者にも強いインパクトを与えました。これが後の労働運動や社会主義思想の広がりにもつながっていくんですね。
つまり、産業革命が先で、フランス革命があと。でも単なる順番の問題じゃなく、両者は「市民が力を持ち始めた」という大きな流れの中で、お互いに影響を与え合っていたわけです。どちらか一方だけでは、近代ヨーロッパの姿は生まれていなかったとも言えるんですね。
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