ゲルマン民族大移動は寒冷化のせいだった?

 

古代ローマ帝国崩壊の要因となったゲルマン民族大移動。その主因として挙げられるのは、中央アジアの遊牧騎馬民族フン族の西進です。しかし最近は彼らがローマ領内に大挙を始めたのは、それだけが原因ではないことがわかっています。

 

3世紀頃から寒冷化により食糧が不足したため、より住みよい暖かい南方へ移動を始めた、というのも大移動の有力な原因とされているのです。

 

気候変動によりローマは衰退?

ゲルマン人のローマ領への侵入自体は、帝政期以降たびたび行われていましたが、帝政初期はローマ全盛の時代だったため軍事的優位で侵入を防げていました。

 

しかし帝政末期になると、寒冷化により食糧の安定供給が滞り、国は衰退していきます。そうなると防衛力が低下し、ゲルマン民族が大挙してくるようになるのです。

 

気候と国家の盛衰というのは非常に密接で、古代ローマが繁栄していた紀元前2世紀から紀元後2世紀の間というのは、地球の気候が温暖だった期間と重なります。

 

温暖期というのは食糧が安定的に供給されるので、大人口を抱えられるし、防衛の要となる兵員も安定的に供給できるわけですね。