ギリシャ神話における「太陽神」とは?

人々は昔から自然の中の大きな力、見えない存在を神として崇拝してきました。その中でも太陽神は格別の存在として重要視されてきました。ですがギリシア神話において、神々は非常に人間臭く描かれていることもあり、あまり他の神話や宗教ほど絶対的な存在として崇拝されているわけではありません。そしてギリシア神話には太陽神とされる神が複数存在するのです。

 

このページの目次

 

 

ヘリオス

ポスポロスとヘルメスをともない、太陽の戦車にのるヘリオス(ミュンヘン・ニンフェンブルク宮殿のフレスコ画)

 

ギリシア神話における太陽神といえばヘリオスが有名で、名は「太陽」「日」という意味があります。ギリシア人は、「太陽」とは「ヘリオスが乗る馬車」であり、馬車は毎日東から西へ渡り、夜には黄金の鉢で海の流れにのり東の地に戻っていると考えました。天空を通過するときに世の中のすべてを見下ろしているので、なんでも見通すことのできる誓いの証人だとされています。

 

アポロン

Hendrik Goltzius画『大蛇を射るアポロン』

 

アポロンはゼウスの息子であり、オリンポス十二神の一柱です。芸能・芸術の神、光明の神、弓矢の神、牧羊の守護神とされていますが、後に太陽神としての神格が付け加えられます。ヘリオスと同一視される存在ですが、これは光明神という性質があったためだと言われています。

 

ヒュペリオン

ヒュペリオンは、ヘリオスの父で、大地の神ガイアと天空神ウラノスから生まれた巨神の一人です。名は「高みを行く者」という意味であり、もともと太陽神であったのではないかと考えられているのです。初めて人間に天体と季節の変化の関係を教えた存在だと言われています。