ヨーロッパの城と日本の城の違いとは?

ヨーロッパと日本の「城」の違い

 

ヨーロッパの城と日本の城。どちらも為政者や軍の指揮官の根城であり、政治や情報の中心地であったという点は共通しています。しかし両者が持つ「軍事的機能」には性格の違いがあり、ここではその違いについて簡潔に解説していきます。

 

 

ヨーロッパのお城の特徴

ヨーロッパでいう城というのは、交通・軍事・通商上の重要防衛拠点として設けられた領域=自民族の生活拠点=城壁都市のことを指します。多民族が城壁都市内に攻め入る事(攻城戦)を想定した構造になっています。

 

天守の周りを堅固な土や石を固めて造った巨大な城壁が囲っており、城壁には一定間隔に攻撃と監視を目的とした塔が設けられ、攻防一体の軍事拠点として機能していました。

 

ヨーロッパのお城の構造上の特徴については【ヨーロッパの城の特徴】にて詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

 

城壁都市では多数の一般市民が生活の基盤を築いています。城壁が他民族に破られるイコール、その基盤が崩れ、全ての財産を略奪され、奴隷にされたり、殺されたりすることを意味しますから、それはもう必死に防御を固めるわけです。

 

 

日本のお城の特徴

一方日本の城はどうかというと、日本での戦闘は野戦がメインで、攻城戦対策の優先順位は低く、ヨーロッパの城ほど頑強に造られていませんでした。物資の貯蔵や武士が一時的に篭城する目的では使われますが、積極的に篭城戦を展開するような場所ではなかったのです。

 

ヨーロッパの攻城戦は数年続くこともあり、日本の城はこのような長期の攻めには耐えられなかったし、そもそも備える必要もなかったでしょう。その他日本で城塞都市が普及しなかった理由としては、

 

  • 同国の覇権を巡る戦いが主流だった日本ではあまり需要がなかった。
  • 日本には城塞都市を築けるほどの資源がなかった。

 

などが挙げられます

 

日本の戦は同じ民族同士の覇権を巡る戦いで、いわば偉い人同士のいざこざです。2つの勢力のどちらが勝っても負けても、一般市民にとっては政権が変わるだけで、略奪の対象になったり、奴隷にされたりといったことはなかったのです。一般市民を対象に略奪や殺人など行なえば、為政者としての信用を失い、統治しづらくなるだけですからね。

 

また、そもそも城郭都市を築くには莫大な財力や人材、そして資源が必要です。日本では財力と人材が揃ったとしても、土地的に十分な城壁を築くほどの良質な石材の調達は難しかったでしょう。