ドイツは独ソ不可侵条約をなぜ破った？

第二次世界大戦の前夜、ドイツとソ連は意外な協力関係を結びました。それが「独ソ不可侵条約」でした。しかし、その後、この条約が破られ、大戦の展開が加速することとなります。では、なぜヒトラー率いるドイツは、ソ連との協力関係を築きながら、結局この条約を破る選択をしたのでしょうか？

 

 

背景：独ソ不可侵条約の締結

条約の内容

1939年8月、ナチス・ドイツとソビエト連邦は独ソ不可侵条約を締結しました。この条約は、双方が互いに侵略しないということを約束したもので、また秘密協定も含まれていました。それは、ポーランドの分割と、バルト諸国に対する影響圏の割り当てを定めていました。

 

締結の背景

ヨーロッパでの勢力均衡を図りながら、それぞれの野望を遂げるため、ドイツとソ連はこの条約を結ぶこととなりました。ヒトラーは西方向の拡大を目指し、東方のソ連を一時的に安全にすることで、フランスやイギリスとの戦争に専念することができました。一方、ソ連は西側諸国との戦争を避け、安定した外交関係を築くことで自国の安全を確保しようとしていました。

 

ヒトラーの真の目的

レーベンスラウムの思想

ヒトラーの思想の中核には「レーベンスラウム」、すなわち「生存空間」の確保がありました。これは、ドイツ民族の生存と繁栄のために、東方の土地を征服する必要があるという考えです。これに基づき、ソ連を攻撃することは避けられない運命となっていました。

 

ソ連の資源

ソ連は豊富な資源を持っており、それを手中に収めれば、ドイツの戦争遂行能力を大いに向上させることができました。特に石油や鉱鉱はドイツにとって非常に魅力的でした。そのため、ソ連への侵攻は戦略的な意味でも必要となりました。

 

条約を破る決断

西方諸国との戦局

1940年までにフランスを降伏させ、イギリスとの戦局も一段落したドイツは、次なる目標としてソ連を定めました。ヒトラーは、ソ連を迅速に打倒することで、西方諸国との交渉力をさらに高めることができると判断しました。

 

1941年のバルバロッサ作戦

1941年6月22日、ドイツはソ連へと侵攻を開始します。これは「バルバロッサ作戦」と名付けられ、独ソ不可侵条約を一方的に破棄する形となりました。この決断は、前述のヒトラーの思想や戦略的な目的、そして西方諸国との戦局の進展に基づいています。