合理主義的、人間性の解放を理想とする啓蒙思想の普及により、神を絶対視する世界観が崩れ、人々はローマカトリック教会の圧政から解放されました。
ルネサンス、宗教改革、科学革命などいくつもの社会変革を経て、人々の自然科学に関する知見が深まっていった結果でもあります。
啓蒙思想の普及は中世的な価値観に支えられる封建制、絶対王政の崩壊にも繋がり、近代市民社会への道筋が引かれたのです。
こう聞くとメリットしかないように思えますが、啓蒙思想はヨーロッパ人の他文明圏に対する優越意識を育てる結果にもなった、という点は問題点として挙げられるでしょう。
というのも、大航海時代開幕以来、アフリカ、アジア、アメリカなど、多くのヨーロッパ人が外界の情報を知るところとなりましたが、啓蒙主義は
ととらえ、「啓蒙すべき対象」と位置づけたからです。
そのため啓蒙思想はヨーロッパがアジアやアフリカを植民地化し、反乱を武力で鎮圧してでも独立を奪うことを正当化するのに利用され、のちのち少なくない学者に啓蒙思想の負の側面が批判されることにもなるのです。
イギリスの植民地主義を象徴する風刺画。長らく多くのヨーロッパ人はアフリカを植民地化することは、未開の地を文明化する正しい行為と信じていた。
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