ベラルーシの気候的特徴を季節別に解説!

ベラルーシの気候

ベラルーシは亜寒帯湿潤気候が主で、冬は寒冷で長く、夏は短く涼しい。森林と湖沼が多い地域である。本ページでは、このような地理的要因やその影響についてさらに詳しく掘り下げていく。

ベラルーシの気候的特徴を季節別に解説!

ベラルーシの国土


ベラルーシは、ヨーロッパ東部に広がる内陸の国。海に面していないため、気候はしっかりと大陸性──でも、そのわりに“極端”すぎないのがこの国の特徴なんです。広大な森林、なだらかな丘陵、冷たくも豊かな大地。このページでは、そんなベラルーシの気候のタイプ、暮らしや文化との関係、そして歴史を通じて気候がどんな役割を果たしてきたのかを3つの視点から見ていきましょう。



ベラルーシの季節別気候

東ヨーロッパの内陸に位置するベラルーシは、典型的な大陸性気候の国です。寒暖の差が大きく、四季がはっきりしているのが特徴で、それぞれの季節に独特の景観と気候があります。


春の気候

3月から5月にかけての春は、長く厳しい冬が終わり、少しずつ暖かさが戻ってくる季節です。3月はまだ雪が残ることもあり、平均気温も5℃以下ですが、4月には10℃を超える日が増え、草木が一気に芽吹き始めます。5月になると20℃近くまで上がる日もあり、街や公園に色とりどりの花が咲き誇ります。雨がやや多くなる時期でもありますが、空気は澄んでいてとても心地よく感じられます。


夏の気候

6月から8月の夏は、短いながらも比較的暖かく、過ごしやすい季節です。日中は25〜30℃まで気温が上がることもありますが、湿度は高すぎず、カラッとしています。緑が豊かなベラルーシでは、湖や森など自然の中で過ごす人も多く、アウトドアを楽しむには最適な時期です。ただし、にわか雨が降ることもあるため、急な天候の変化には注意が必要です。


秋の気候

9月から11月の秋は、空気がひんやりと澄み、紅葉が美しく広がる季節です。9月はまだ20℃前後の暖かさがありますが、10月には一気に気温が下がり、10℃を下回る日も増えてきます。11月には氷点下に近づく日もあり、初雪が降ることも。秋の終わりにはすでに冬の足音が近づいており、コートや手袋などの冬支度が欠かせなくなります。


冬の気候

12月から2月の冬は、ベラルーシにとって最も厳しい季節です。平均気温は-5〜-10℃ほどで、寒波の影響を受けると-20℃近くまで下がることもあります。国全体が雪に覆われ、氷点下の世界が広がりますが、屋内は暖房がしっかりしており、外の寒さとのギャップも印象的です。冬のベラルーシはとても静かで、モノトーンの風景がどこか幻想的な雰囲気を醸し出します。


ベラルーシの地域別気候

ベラルーシは、内陸の高緯度地域に位置するため、基本的には温帯大陸性気候が国全体を支配しています。ただし緯度の割には冬が“そこそこ穏やか”という特徴もあるんです。


全域に広がる温帯大陸性気候

国全体が温帯大陸性気候に属しており、冬は長く寒く、夏は短くて温暖という典型的な気温パターン。1月の平均気温は-4~-8℃、7月は17~19℃ほどで、気温の年較差がとても大きいのが特徴です。降水量は年間で600~700mmほどで、春と秋に集中する傾向があります。


森林と湿地に支えられた気候

国内の40%近くを占める広大な森林と、あちこちに点在する湿地帯が気候の安定装置となっていて、乾燥しすぎず、湿気がほどよく保たれています。とくに南部のプリピャチ湿原などでは、気温の急激な変化がやわらぎ、朝霧や霧雨がよく見られます。


風と雲の多い空模様

ベラルーシは偏西風の通り道にあたるため、曇りがちで風の強い日が多いというのも特徴のひとつ。年間の日照時間はおよそ1700時間と、ヨーロッパ平均よりやや少なめ。どんよりした空が多く、それが“静かな風景”をつくっているとも言えます。


ベラルーシ文化と気候

寒暖差の激しい気候、森林や湿地の存在──そういった環境の中で、ベラルーシの人々はどう暮らしてきたのでしょう?ここでは気候が形づくった文化の一端をのぞいてみましょう。


薪ストーブと木造住宅の伝統

長く寒い冬を越えるために欠かせないのが薪ストーブ。昔ながらのベラルーシの家では、太い丸太を使った木造建築と、家の中心に据えられた暖炉(ペチカ)がセットでした。森と共に暮らす文化が、寒冷な気候にピタリと合っていたわけです。


保存食と発酵文化の発展

冬の食糧確保には、ピクルス、ザワークラウト、スモーク肉などの保存技術が不可欠。さらにライ麦パンや発酵乳製品など、寒冷地でも栽培できる穀物と発酵を活かした食文化が発展しました。気候条件が“発酵王国”を育てたとも言えるでしょう。


季節ごとの民俗行事

厳しい冬が明けると、春の訪れを祝うマスレニツァや、夏至の火祭りクパーラの夜など、自然のリズムに寄り添った行事が数多く行われます。気候と暦が一体化したような文化のあり方が、今も地方では色濃く残っています。


気候から紐解くベラルーシ史

ベラルーシの歴史は、周囲の大国との関係性の中で語られることが多いですが、気候条件もしっかりとその背景にあります。寒冷な土地で、どう生き抜き、どう守り、どう発展してきたのかを見てみましょう。


古代~中世:森林と湿地の防御力

この地域は古くからスラヴ系民族の定住地として知られていますが、豊かな森と湿地が天然の防壁となり、外敵の侵入を妨げてきました。気候の厳しさと地形の複雑さが、“守られた空間”をつくっていたともいえるのです。


ポーランド・リトアニア時代の農業拡大

中世にはポーランド・リトアニア連合王国の一部として発展。気候は寒冷ながら、ライ麦・そば・じゃがいもといった寒冷地向きの作物が広く栽培され、村落共同体による農業が生活の基盤になっていきました。


ソ連時代の森林開発と工業化

ソビエト連邦時代には、林業と重工業が国家の主要産業となり、寒冷な気候を逆手に取った寒地用機械や車両の生産も行われました。また、気候的に人口密度が比較的低く、核実験施設や軍需拠点としての利用もありました。


現代:気候変動と環境保全の課題

近年では冬の気温上昇、春先の干ばつなど、気候変動の兆しが見られるようになっています。その一方で、森林や湿地を保全する国際的な取り組みも進みつつあり、自然と共存する道を模索する時代に入っています。


ベラルーシの気候は、静かだけど力強い。その寒さと湿気が、森や人々の暮らし、そして歴史の輪郭を形づけてきたのです。気候を知ることで、ベラルーシという国の静かな奥深さが見えてくるはずです。