フランスのお菓子は、マドレーヌ、エクレア、マカロンなど数えあげればきりがないほど多様で、世界的にも評価が高いです。しかしこれらはフランスでいきなり生まれたのではなく、ヨーロッパ諸国との関わりの中で生まれ、発展してきました。
|
|
|
|
中世のフランスにおいて、砂糖は貴重品でした。宗教上の催事やミサの時には「ガレット」や「ゴーフル」などのお菓子が焼かれ、市民に配られることもありましたが、基本的に貴族や聖職者など、一部の上流階級しか食べられない高級品だったのです。
しかし11〜13世紀の十字軍の遠征をきっかけに、東方貿易がさかんに行われるようになってからは、砂糖の流通量が急増、上流階級以外にも、少しずつ普及していきました。
近世のフランスは、大航海時代の開幕や各国との政略結婚により、外国から新しい物や習慣が大量にもたらされた時代でした。それにより、フランスにおけるお菓子は、よりバリエーション豊かなものになっていきました。
イタリア名門貴族メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシス(1519 - 1589)が、フランス王アンリ二世に嫁ぐ際、イタリアから菓子職人も連れてきたことで、「マカロン」「ジェラート」「ジェノワーズ」などのお菓子が、フランスにもたらされています。
フランス革命のあと、フランスでは王政が廃止され、身分制度が崩壊しました。これにより職を失った王族・貴族お抱えの菓子職人達は、街中でお菓子を売る店を開店しはじめます。
ここで初めて、上流階級しか食べられなかった高級品だったお菓子が、庶民の間でも普通に食べられるようになったのです。
さらに20世紀以降は、製造・冷蔵・流通技術の発達により、バウムクーヘン、ザッハトルテなど、それまで高級品とされてきたお菓子が、一般的で身近なお菓子になっていきました。
|
|
|
|