ギリシャ神話における「月の女神」とは?

ギリシア神話には月にまつわる女神が3柱も存在し、古代ギリシア人は三日月をアルテミス(乙女)、満月をセレネ(成熟した女性)、欠けていく月をヘカテー(老女)と見立てていました。

 

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アルテミス

ギヨーム・セイニャク画『女狩人アルテミス』

 

アルテミスはゼウスの子で、太陽の神アポロンとは双子です。もとは狩猟と貞潔の女神ですが、後にセレーネやヘカテーと同一視され、月の女神とされた経緯があります。弓矢を携えた姿の絵画や像が多くみられるのはそのためです。

 

そして自分の母の助産婦の務めを果たした逸話からか、生殖や出産を司る女神ともいわれ、そのエピソードから着想を得た、乳房が複数ある姿の像も存在します。

 

セレネ

セレネは月・月光の女神です。太陽神ヘリオスの娘で、金色の王冠をつけ、額に月を付けた美女の姿で、銀色の馬車で夜空を駆け月光の矢を放ったといいます。月経と月の関係から、セレネも生殖や繁殖に関わる神とされていました。やがてアルテミスやヘカテーと同一視されるようになりました。

 

ヘカテー

ヘカテーは月を司る神であると同時に、夜や闇を象徴する冥界の女神でもあります。呪いや魔法を操ることでも知られ、魔力が集まりやすい場所(三叉路や十字路など)の守護神として、中世においては魔女と関連付けられていました。