15世紀後半から17世紀にいたる大航海時代。海賊以上に「不治の病」として船乗り達に恐れられたのが壊血病という病気です。壊血病はビタミンCの欠乏により発症し、多くの船乗りがこの病気に苦しみました。
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壊血病の症状には以下のようなものがあります:
これらの症状が現れると、患者は急速に衰弱し、適切な治療を施さなければやがて死に至ります。壊血病は他の病気を併発することもあり、その犠牲者数は甚大であったとされています。
壊血病の主な原因は、果物や野菜不足によるビタミンCの欠乏です。ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠であり、その欠乏は組織の結合を弱め、血管の脆弱化を引き起こします。
大航海時代において、大西洋・インド洋・太平洋などの大洋を横断するには、船員は非常に長い期間(2〜3か月)の洋上生活を強いられました。その間、彼らが食べていたのは乾物や塩漬けといった長期保存食でしたが、これらの食品にはビタミンがほとんど含まれていませんでした。
壊血病の対策として、17世紀にイギリス東インド会社の医務長官が、船員にオレンジやレモン、ライムを食べさせることで症状が緩和できることを発見しました。この発見により、壊血病の予防策が確立されました。
イギリス海軍は、水で薄めたラムにライムを絞って飲むようになりました。これにより、船員たちはビタミンCを摂取し、壊血病を予防することができるようになりました。この習慣は「ライミー」という呼び名を生むほど広まり、イギリス海軍の標準的な健康対策となりました。
壊血病対策の確立により、ヨーロッパ各国の航海は大幅に安全性が向上しました。これにより、長期間の航海が可能となり、遠洋航海の成功率が高まりました。結果として、大航海時代の地理的発見や貿易の拡大がさらに促進され、ヨーロッパの経済と文化に大きな影響を与えました。
壊血病の対策は、ヨーロッパの航海技術と健康管理の向上に大きく寄与し、大航海時代の成功を支える重要な要素となりました。ビタミンCの重要性を理解し、その欠乏を予防することで、壊血病は徐々に克服されていったのです。
このように、壊血病の発見と対策は、大航海時代における船乗りたちの健康と航海の成功に欠かせないものであり、その影響は現在の栄養学や医療にも通じています。
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