
スウェーデンは北欧の中でも国土が広く人口が少ない国ですが、その行政区画の仕組みはシンプルで効率的なのが特徴です。中央政府の強い役割を持ちながらも、地方自治の仕組みをきちんと整え、福祉国家らしいバランスを取っています。ここではスウェーデンの地域区分と行政構造をわかりやすく解説します。
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スウェーデンの大きな行政単位は県(län)です。日本の「県」にあたるもので、全国を均等に管理するために設けられています。
スウェーデンには21の県があり、それぞれに県知事(Länsstyrelse)が中央政府から派遣され、行政を監督しています。首都ストックホルムもストックホルム県として独立しています。
県は環境保護、交通、警察、地域開発などを担当します。中央政府の政策を地域に浸透させる「国の出先機関」としての性格が強いんです。
ただし北部のノールランド地方と南部のスコーネ地方では地理や経済の特徴が大きく異なるため、県の役割も地域事情に合わせて運営されるのが実態です。
県の下には基礎自治体(kommun)があり、住民に最も身近な行政を担っています。
スウェーデンには290の基礎自治体があり、村から都市まで幅広くカバーしています。人口規模は数千人から数十万人までさまざまです。
自治体は教育(小中学校)、福祉、医療の一部、上下水道、ごみ処理といった生活に直結するサービスを提供しています。「福祉国家スウェーデンを支える柱」がここにあるんです。
ストックホルム、ヨーテボリ、マルメのような大都市は、規模が大きいため広域的な交通や都市計画までカバーしており、小規模な自治体とは性格が異なります。
スウェーデンの行政区画は歴史の流れに合わせて整理され、今の形になりました。
かつては「県」よりも細かい「教区(parish)」が地域社会の中心でしたが、20世紀以降の効率化で自治体に統合されました。
外交や防衛、経済政策は中央政府が握り、教育や福祉は自治体が担当するという役割分担が徹底されています。
「地方自治を尊重しつつ、全国で同じレベルのサービスを保証する」──これが北欧に共通する考え方で、スウェーデンも例外ではありません。
こうして見ると、スウェーデンの行政区画は「県」と「基礎自治体」の二層構造で成り立っています。中央政府の統制を受けつつも、住民に直結するサービスは自治体が担うことで、福祉国家らしい安定した仕組みが実現しているんですね。
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