第一次世界大戦の終結後、敗北したドイツ社会では「背後の一突き」という言葉が広まりました。これは戦場で戦ったドイツ軍ではなく、社会の内部、特に「ボルシェビキ的なユダヤ人」が戦争の敗因だとする説です。そしてこの思想が、後のユダヤ人迫害、果てはホロコーストへと道筋を準備したことは忘れてはならないでしょう。

 

 

 

 

「背後の一突き」伝説の形成

戦争が長引き、経済が悪化する中で、ユダヤ人が戦争を利用して利益を得ているとの風評が広がりました。そして、敗戦後の混乱した社会情勢の中で、「ユダヤ人がドイツを裏切り、戦争の敗因を作った」とする「背後の一突き」神話が生まれ、敗戦に不満を持つ多くのドイツ人に受け入れられました。

 

「背後の一突き」からユダヤ人迫害へ

この「背後の一突き」伝説は、社会的混乱と経済疲弊で苦しむドイツ人にとって、自身の困難の原因を外部に投影する大きな口実となってしまったのです。そしてナチスの台頭とユダヤ人迫害の激化に、その果てのホロコーストという悲劇にも繋がってしまうのですね。