ヨーロッパ建築様式の種類|各様式の特徴や成立した順番は?

ヨーロッパ建築様式の多様性は、文化的および歴史的変遷を反映しています。ローマ帝国の古典的な形式から始まり、中世の宗教的建築、ルネサンス時代の復古主義、バロックの華麗な飾り付けまで、時代ごとの社会的、文化的な背景によって建築様式は進化してきました。この記事では、それらの特徴や成立の順番を探り、それぞれの時代の美的感覚を理解する旅をします。

 

 

建築様式とは

建築様式とは、一定の時代や地域に特有の建築デザインの傾向を指し、通常、その時代の文化、技術、宗教、政治などの影響を反映しています。ヨーロッパの建築様式は、特定の時代に流行した建築技術や装飾の特徴を具現化し、歴史の中で独自の足跡を残しています。これらの様式は、建築家たちの創造性や当時の社会情勢に深く根ざしており、時代ごとの精神や価値観を表しています。

 

建築様式の変遷を知る意義

ヨーロッパの建築様式の変遷を知ることには大きな意義があります。それは、過去の社会、文化、技術の進歩を理解する鍵となり、また美術史や文化史の重要な側面を明らかにします。各建築様式の背景には、その時代の政治的、宗教的、文化的な動きが反映されており、これらを通じて歴史の流れを視覚的に捉えることができます。さらに、これらの建築物は現代にも残り、過去への窓として私たちに多大な価値を提供しています。

 

建築様式の種類

ロマネスク建築(10世紀末〜)の特徴

ヨーロッパ建築様式の種類〜各様式の特徴や成立した順番は?〜

ピサ大聖堂(イタリア

 

ロマネスク建築は、ヨーロッパの建築史の中で最も初期の様式の一つで、全体的に丸みを帯び、どっしりとしたフォルム、重厚な壁と小さな窓、半円アーチなどが特徴的です。構造上の問題であえて窓はあえて控えめにされており、全体的にあまり飾らないシンプルな外観をしています。ローマ時代の建築様式やビザンチン文化の影響も受けています。修道院や教会建築に多く見られ、当時の宗教的な影響を色濃く反映しています。

 

ゴシック建築(12世紀中頃〜)の特徴

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シャルトル大聖堂(フランス

 

ゴシック建築は、ロマネスクからの進化を示す建築様式で、より高く、より光が差し込むデザインが特徴です。この様式の建物は、垂直性と光に焦点を当て、高い天井、尖塔アーチ、細長い窓などが特徴です。ゴシック建築は、特に教会や大聖堂で顕著で、その華やかなステンドグラスや彫刻は、中世の宗教芸術の極みを示しています。

 

ルネサンス建築(15世紀〜)の特徴

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サンタ=マリア大聖堂(イタリア)

 

ルネサンス建築は花の都フィレンツェから各地に広まった建築様式です。平面的で整然としており、左右対称・均等なデザインが特徴です。円柱、アーチ、ドームといった古代ローマの要素が再生(ルネサンス)されており、外部に向けて秩序と威厳を強調する意味合いが込められています。

 

バロック建築(16世紀〜)の特徴

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ヴェルサイユ宮殿(フランス

 

バロック建築は、外装にウネりやネジれが多様されており、均整がとれたルネサンス建築と対照的に不整形なのが特徴です。より動的で感情的な表現を目指した結果といえます。不整形なフォルムに合わせ曲線がかった窓が使われています。過剰なほど豪華壮麗な装飾・彫刻で、これまでのどの建築様式よりも高い建設費がかかりました。

 

「バロック」の語源はポルトガル語で「歪んだ真珠」を意味する「バローコ」に由来しています。

 

ロココ建築(18世紀〜)の特徴

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サンスーシ宮殿(ドイツ

 

ロココ建築は、バロックの豪華絢爛さは影を潜め、軽快で繊細優美な造りをしており、教会や宮殿などの屋内装飾、家具調度品の装飾に導入された様式です。室内装飾には、「ロカイユ」と呼ばれる浮彫装飾が施されています。この様式はひたすら壮麗なバロックに飽きていた建築家達に歓迎され、急速にヨーロッパ各地に広まっていきました。

 

ヨーロッパの建築様式は、その時代ごとの文化や価値観の変遷を映し出しています。ロマネスクからロココに至るまで、各様式はそれぞれ独自の美しさと特徴を持ち、歴史の中で重要な役割を果たしてきました。これらの建築物は、過去の社会や文化についての理解を深める貴重な資源であり、現代に至るまで多くの人々を魅了し続けています。ヨーロッパ建築の探究は、時代を超えた美の追求と、人間の創造力の素晴らしさを感じさせる旅です。この記事を通じて、読者の皆さんもその旅に同行することを願っています。