家の造りには、その国・地域の地理・気候・文化的な影響がよく表れており、イタリアの場合はとくにその傾向が顕著といえると思います。ここではイタリアの家にみられる特徴を紹介しています。
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イタリアには耐久性に優れる石造りの家が多く、築数百年という古民家が珍しくありません。(日本の伝統的な木材建築の寿命はせいぜい30年)その為、イタリアでは「土地」よりも、こういった歴史ある「家」に価値が置かれ、個人の家が国家の保護下に置かれたり、1つの家に何代にもわたって住み続けるというケースがよく見られます。
イタリアには「トゥルッリ」と呼ばれる伝統家屋があります。トゥルッリはとんがり屋根の石の家で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。トゥルッリは主に南イタリアプーリア州・アルベロベッロでみられる家で、前8世紀に古代クレタ文明よりもたらされたといわれています。似た家はアルベロベッロ以外でも、地中海沿岸のいくつかの地域で見られます。
日本に限らず、多くの国々では家を「プライベートの場」と考える傾向があるのに対し、イタリア人は「社交の場」と考える傾向があります。もちろん個人差はあるものの、イタリアの家は、いつ人を招いてもいいように、絵画や装飾品で飾り、余計な物を置かず整理され、スペースを広くとった間取りになっていることが多いです。招いた来客が家の中を自由に満喫できるように、全ての部屋が綺麗に片付けてあるのもイタリアならではです。
イタリア半島は歴史的に、多方面から文化の流入があったため、エトルリア建築、ローマ建築、ビザンチン建築、ロマネスク建築、ルネサンス建築など非常に幅広く多様な建築様式が生まれました。そのため現在でもイタリア諸都市には、ピサ大聖堂(ロマネスク様式)、ミラノ大聖堂(ゴシック様式)、サンジョルジョ・マッジョーレ教会(ルネサンス様式)、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会(バロック様式)など、時代を象徴する有名建築物が多く保全されています。
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