ヨーロッパで大地震が起きて多くの犠牲者が出たというニュースはあまり聞かないのは、地震大国の日本と違い、ヨーロッパでは滅多に地震が起きないからです。なぜヨーロッパで自信が少ないのか?という疑問については、そもそも「地震とはなぜ起こるのか?」を考えれば大部分は解消されると思います。
地震の正体は、ずばり、地球の表面を覆っているプレートの動き(プレートテクトニクス)から生じる“衝撃”なので、プレートの境界に近いほど地震は発生しやすくなります。ヨーロッパは大陸プレートの境界から離れた、硬いプレート上にある国がほとんどなので、必然的に地震が起きにくいというわけです。地域によっては一生のうちに1度も地震を経験していないという人もいるくらいです。
逆に、日本列島は4枚のプレートの境界線上に丁度位置しているので、地震は日常レベルで起きています。日常的には気づかないレベルの小さな揺れがほとんどですが、震度5以上の大きな揺れの地震も珍しくありません。
ヨーロッパでもその置かれた地理的条件により、地震が多い国も少ないながら存在します。
アイスランドの位置
アイスランドはヨーロッパ大陸とアメリカ大陸のプレートの境界線上に位置しているので、ヨーロッパでも数少ない地震大国です。またアイスランドには活火山が多いので、M3以上の火山性地震が頻繁に観測されています。
地中海沿岸の国々
ユーラシアプレートとアフリカプレートの境界上にある地中海沿岸の国(イタリアやギリシャなど)は比較的地震が多い地域で、21世紀以降だと、イタリア中部で2009年に308人、2010年に296人の地震による犠牲者がでています。
震度に対して被害の大きいヨーロッパ
ヨーロッパでは、比較的地震が多い地域であっても、耐震対策がゆるく地震の規模に対し被害が大きくなりがち。他のヨーロッパ諸国より地震が多いというだけで、頻度は日本とは比較にならず、将来いつ起こるかわからない地震対策にそこまでお金をかけるわけにもいかないようです。
それに対して地震が毎日毎秒のように起きている日本では、耐震に破格の予算をつぎ込んでいるので、イタリアでは壊滅的な被害になるM6.0程度の地震でも余裕をもって耐えたりします。
地震のメカニズムを理解することは、地震のリスク管理と対策の立案に不可欠です。ヨーロッパの多くの国々がプレートの境界から離れているため、大規模な地震が比較的起こりにくい地域とされていますが、それでも地震の脅威は存在します。地震の規模が小さい、または頻度が低いとしても、準備不足や耐震性の低い建物があると、被害は甚大になりかねません。
ヨーロッパにおける地震の歴史は、時に悲惨な犠牲を伴うものでした。たとえば、1755年のリスボン地震は歴史上最も破壊的な自然災害の一つであり、ヨーロッパ西部で発生したこの地震は、何万人もの命を奪いました。また、1908年のメッシーナ地震は、イタリアとシチリアを襲い、およそ8万人の死者を出しました。
これらの事例は、ヨーロッパが地震から完全に安全な地域ではないことを示しています。地中海沿岸では、テクトニックプレートが衝突し、プッシュすることで、地震が発生しやすい環境があります。特にイタリアやギリシャは地震が頻繁に起こり、過去には甚大な被害をもたらしたことがあります。
耐震設計の歴史を見ると、日本は数千年にわたる地震との戦いの中で、建築技術を磨き上げてきました。木造建築の伝統的な柔軟性から学び、現代では高層ビルにも先進的な耐震技術を応用しています。対照的に、ヨーロッパでは古い建物が多く、これらの建築物は元々耐震設計ではなかったため、改修や強化が不可欠です。
震度に関する議論においては、地震の強さだけではなく、震源地の深さ、建物の耐震性能、人口密度、そして時間帯によっても被害の度合いは変わります。日本のように地震に備えた国では、同じ震度の地震でも、ヨーロッパの一部の地域より被害が少ない傾向があります。
ヨーロッパでは地震が稀な現象であるため、日本のように広範囲にわたる耐震設計に対する意識が根付いていないのが現実です。しかし、イタリア中部の悲劇的な地震をはじめ、小規模ながらも人的、物的被害を伴う地震が起こることがあり、地震対策の重要性が再認識されています。
ヨーロッパでは、これまで地震の危険性が低いとされていた地域でも、長期にわたるデータ収集と研究が進むにつれて、未知の断層線や予期せぬ地質的活動が発見されることがあります。これらの新たな発見は、地震リスクの再評価を必要とし、対策の見直しを迫るものです。
最終的に、地震は予測が困難な自然現象であり、そのためには適切な準備と、予防策を講じることが不可欠です。ヨーロッパ諸国においても、歴史を教訓に、防災意識の向上と技術の進歩による耐震対策が、より一層進められることが望まれます。
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