19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシアの南下政策は、帝国の影響力を中東に広げることを目指していました。しかし、この大規模な地政学的な試みは、様々な理由から大部分で失敗に終わりました。

強力な抵抗勢力

ロシアの南下政策は、イギリスやオスマン帝国などの強力な地域勢力によって抑制されました。これらの国は自身の地域的利益を守るため同盟を組み、ロシアの影響力拡大に対して強く抵抗しました。これはロシアの南下政策にとって大きな阻害要因となりました。

不十分な経済力と軍事力

さらに、ロシア自身が十分な経済力と軍事力を持っていなかったことも大きな要因です。19世紀末のロシア経済はまだ十分に工業化されておらず、また、ロシア軍の装備や訓練は西欧諸国に比べて遅れていました。これらの要因はロシアの南下政策を実現するための能力を制限しました。

内部の混乱

さらに、この期間にロシア自身が直面していた政治的、社会的な混乱も大きな要因でした。この時期のロシアは1905年革命や1917年の二月革命、十月革命といった大規模な内乱に見舞われ、中央政府の権威は大きく揺らぎました。これらの内部の混乱は、ロシアが外部に対して一貫した強力な政策を実行する能力を著しく制約しました。