ハプスブルク家のしゃくれ顎はなぜ?呪い?遺伝病?

ハプスブルク家の「顎」と「呪い」

ハプスブルク家特有のしゃくれ顎は、長期にわたる近親婚の結果、遺伝的形質が固定化されたとされる。中世から近世にかけて王族間の婚姻は権力維持の手段であり、その副作用が外見にも現れたという説が有力だ。本ページでは、このあたりの歴史的背景と後世への影響について詳しく掘り下げていく。

ハプスブルク家のしゃくれ顎はなぜ?呪い?遺伝病?

ハプスブルク家は代々顎が“しゃくれ”ているそうですがなぜですか?一族にかかった呪いとか怖い話も聞きましたが…。

確かにハプスブルク家の当主には顎がしゃくれている者が多く、それは「ハプスブルク家の顎」と呼ばれています。そして近年の研究ではこれは「呪い」などではなく、長年続けてきた近親婚の影響、つまり遺伝らしいことがわかってきています。


しゃくれの理由とは?

ハプスブルク家は権力を近親者で固めるために、政治的・戦略的に親戚同士の婚姻を繰り返していました。いわゆる「婚姻外交」がハプスブルク勢力を大きくしたのです。


ハプスブルク家最後のスペイン王カルロス2世。何重もの近親婚の影響で、極度の下顎前突症の他、様々な身体障碍を患っていた。


しかし近親者同士で結婚を繰り返すと、どんどん血が濃くなっていき、特定の身体的特徴がより顕著に現れるようになります。ハプスブルク家の場合それが顎だったり下唇だったりしたわけで、酷い時には日常に支障をきたすほどの障害や奇形をもって生まれてくる場合もあったようです。(下顎前突症など)