
イタリアは「靴の形の国」として有名ですが、行政の仕組みもなかなか面白いんです。歴史的に都市国家や地方文化が強かったため、中央政府と地方のバランスを取る工夫がしっかり盛り込まれています。ここでは、イタリアの地域区分と行政構造をわかりやすく解説します。
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イタリアの最大の行政単位は州(Regione)です。日本でいう「都道府県」に近い存在ですが、権限の強さがかなり違います。
イタリアには20の州があり、そのうち5州(シチリア、サルデーニャ、ヴァッレ・ダオスタ、トレンティーノ=アルト・アディジェ、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア)は特別自治州として広い権限を持っています。
州は教育、医療、交通、文化政策を大きく担っています。特別自治州はさらに税制や言語政策にまで影響力を持ち、歴史的・民族的背景が強く反映されているんです。
外交、防衛、司法、通貨といった分野は中央政府が握っていますが、州が大きな裁量を持っているため、「分権型の単一国家」と呼べるような仕組みになっています。
州の下には県(Provincia)が置かれています。これは中間的な行政単位で、州と基礎自治体をつなぐ役割を持っています。
現在イタリアには100前後の県が存在します(再編で数は変動)。たとえば有名なミラノ県やフィレンツェ県がその一例です。
県は道路整備、高校教育、環境政策を主に担当しています。基礎自治体では規模的にカバーしにくい部分をまとめて扱う立場なんですね。
2015年以降、大都市では都市県(Città Metropolitana)という制度が導入されました。ローマやナポリ、ミラノなどは広域都市圏として独自の権限を持っています。
一番身近なのが基礎自治体(Comune)で、住民生活に直結する行政単位です。
イタリア全土には約7900の自治体があり、村から大都市まで幅広い規模をカバーしています。人口数百人の村もあれば、ミラノやローマのような巨大都市も含まれます。
自治体は初等教育、上下水道、都市計画、ごみ収集などを担当しています。つまり市民が日常的に接する行政サービスのほとんどがここで行われているんです。
イタリアでは地方のアイデンティティが強いため、住民が自治体運営に積極的に関わります。地域祭りや公共事業を通じて「自分たちの町を自分たちで守る」という意識が根付いているのが特徴です。
こうして見ると、イタリアの行政区画は「州」「県」「基礎自治体」の三層構造で成り立ち、中央集権と地方分権のバランスをとっています。とりわけ特別自治州の存在は、歴史的背景と地域の多様性を映し出すイタリアらしい仕組みだといえますね。
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