
アイスランドの国土
火と氷の国──そんな呼び名がぴったりなのがアイスランド。北大西洋にぽつんと浮かぶこの島国は、氷河・火山・温泉・オーロラといったダイナミックな自然の宝庫。プレートの境界に位置するという特異な地理が、他のどのヨーロッパ諸国とも違うユニークな景観と文化を生み出してきました。今回は、そんなアイスランドの地理的特徴を「地形」「気候」「環境」の3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて解説します。
アイスランドは「地形が動く国」ともいえるほど、変化に富んだ自然の表情を見せてくれます。
アイスランドは北大西洋中央海嶺の真上にあり、火山活動が非常に活発な地域。国内には活火山が30以上あり、エイヤフィヤトラヨークトル火山などの噴火が世界に影響を与えることも。一方で国土の1割以上が氷河に覆われていて、最大のヴァトナヨークトル氷河はヨーロッパ最大の氷のかたまりです。
アイスランド北西部のフィヨルド地形は、氷河が削り取った入り組んだ海岸が特徴。深く切り込んだ湾と急峻な崖が織りなす風景は、ノルウェーにも似ていますが、より荒々しく孤立感があります。
その名とは裏腹に、アイスランドの気候は想像よりも“マイルド”なんです。
アイスランドは緯度が高いわりに北大西洋海流と偏西風の影響で、沿岸部は比較的温暖。レイキャビクの冬は−1℃前後と、東欧の都市よりもむしろ寒くないくらいです。これは西岸海洋性気候(Cfc)の一種とも分類されます。
ただし、内陸部や高原地帯になると氷点下の世界。冬の降雪も多く、ツンドラ気候(ET)に近いエリアも。風も強いため、体感温度はかなり低く感じられます。
手つかずの自然が残るアイスランド。その環境は人間の生活と切っても切れない関係にあります。
火山地帯ゆえに地熱資源が非常に豊富。首都レイキャビクをはじめ多くの家庭が地熱暖房を利用していて、発電や温室農業にも活用されています。クヴェラゲルジなどの温泉地は観光資源としても有名。
人口が少なく自然が豊かな分、国民の環境意識が非常に高いのも特徴。ラキ火山やシンクヴェトリル国立公園のように、地形そのものが歴史や文化の舞台にもなっています。また、クジラやパフィン(ニシツノメドリ)など、ユニークな動物たちとも共存する環境が保たれているんです。
このようにアイスランドは、火山と氷河という両極を抱えた地理のワンダーランド。自然の力が日々動いているような場所だからこそ、そこに住む人々の知恵や暮らしもまた、他にない個性を持っているんですね。
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