オーストリアはヨーロッパの中央部に位置する関係上、「民族の十字路」として古くから民族流入がさかんな地域で、移民というのは当たり前に存在しました。そもそもオーストリアはもともと、北イタリアやドイツ、ハンガリーなど広大な領域を支配した帝国・多民族国家であり、「オーストリア人」という民族意識が生まれたのは、第一次世界大戦後帝国が崩壊し、オーストリア共和国という単一の国家ができてからのことなのです。
そして戦後は経済成長にともない、ヨーロッパの内外から多くの移民が職を求めてオーストリアにやってきています。その結果、現在オーストリアは、総人口のおよそ1割を移民が占めている、ヨーロッパ有数の移民受け入れ国となっているのです。なお移民の多くはトルコやバルカン半島諸国の出身者です。
他の移民受け入れを進めるヨーロッパ諸国と同様、移民受け入れ政策に対する反発は年々大きくなっており、近年では2021年に不法移民に対する厳格な取り締まりを掲げるネハンメルが首相についています。
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