宗教改革の意義を結論付けるのは簡単ではありませんが、主たるところだと以下が挙げられると思います。
宗教改革により中世以来ヨーロッパを支配していたカトリック教会の権力基盤は、その存続を脅かされるほどに揺るがされることとなりました。そのためカトリック教会は反宗教改革を展開しつつも、生き残りのために組織内の腐敗払拭にも取り組み、近代化を遂げたことで、一時プロテスタント化していた南ドイツをカトリック圏に復帰させることができました。
予定説を説き資本主義の形成に貢献したジャン・カルバン
宗教改革の中で様々な宗派が誕生しましたが、特に重要な宗派筆頭がカルバン派です。カルバンはスイスで「予定説」などの改革運動を展開し、その教義の中で労働の尊さを説き、利潤追求を肯定、禁欲的な生活倫理を勧めたのです。彼の考えは商工業者に広く支持され、資本主義精神の育成に貢献、近代市民社会への移行を準備したという点は非常に重要です。
宗教改革をきっかけに多くの宗教紛争が展開され、多大な犠牲を払うことになりましたが、最後で最大の宗教戦争と呼ばれる三十年戦争の講和条約ウェストファリア条約により、ドイツの各領邦は自由に宗教を選べるようになりました。この成功体験は自由権獲得の原動力となり、のちに絶対王政を打倒する数々の市民革命へと繋がっていくのです。
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