スイスからみた第二次世界大戦〜なぜ参戦しなかった?〜

第二次世界大戦という衝撃的な出来事は、その名の通り世界規模の戦争で、大多数の国が連合国または枢軸国のいずれかとして参戦しました。しかし、中には参戦を避け、中立を維持した国もありました。スイスがその一例です。この記事では、スイスがなぜ第二次世界大戦に参戦しなかったのかを探るために、スイスから見たその時代について考察します。

 

 

 

地理的な位置

スイスは地理的に山岳地帯に位置しており、その地形が防衛に有利であるため、侵攻を試みる国が出ることは少なかったです。また、スイスはフランスイタリアドイツといった大国に囲まれていましたが、これらの国との間には長い歴史を通じて様々な政治的・経済的なつながりが形成されていました。これらの関係性は、スイスが戦争に巻き込まれることを避ける要因となりました。

 

中立政策の継続

スイスは長い間中立政策を続けてきた歴史があります。この中立性は、国際社会からも尊重されてきました。第二次世界大戦時も、スイスはその中立性を維持し続け、戦争への参加を避けました。また、スイスは赤十字の本部が置かれている場所でもあり、その中立性は人道的な観点からも重要視されました。

 

ナチスドイツがスイスを攻めなかった理由

 

ナチスドイツはたとえ相手が中立国でも、必要とあらば理由をつけて侵攻する国でした。オランダがその例です(参照:オランダからみた第二次世界大戦〜中立国を襲った悲劇〜)。しかしそんなドイツが、同じ中立国スイスには侵攻しなかった理由は、以下のようにいくつか考えられます。

 

  • スイスの防衛力と地形: スイスは地理的に山岳地帯に囲まれており、自然の要害となっています。また、スイスは中立国としての政策を取り、国土防衛に重点を置いてきました。スイス軍は非常によく訓練されており、アルプス山脈などの地形を活かした防衛ラインを構築していました。このようなスイスの防衛力と地形は、侵攻を困難にしました。
  • スイスの経済的な重要性: スイスは金融業や国際的な取引において重要な役割を果たしていました。ドイツはスイスの金融資源や国際的なネットワークを利用することに利益を得ており、スイスを攻撃することで経済的な影響が及ぶ可能性がありました。
  • ドイツの戦略的な優先順位: 第二次世界大戦中、ドイツは他の地域への侵攻と戦争の拡大に多くの資源と兵力を割かなければなりませんでした。そのため、スイスに侵攻することよりも、他の戦略的な目標に集中することが優先されました。

 

これらの要素が組み合わさり、ドイツがスイスに侵攻しなかった要因となりました。ただし、スイスが中立を維持したことやその防衛力によって、ドイツの攻撃を回避することができたというのもまた事実です。

 

経済的な利益

スイスは金融センターとしての地位を保持していました。戦時中もその地位を維持することで、連合国と枢軸国双方からの資金流入を保証し、国内経済を安定させました。戦争に参加しなかったことで、金融センターとしての地位を損なうことなく、戦後もその地位を維持することができたのです。

 

以上のように、スイスが第二次世界大戦に参戦しなかったのは、地理的な位置、長い歴史を通じて形成された中立政策、そして金融センターとしての地位による経済的な利益が大きな要因でした。これらの要素が組み合わさり、スイスは巧妙に戦争を避けつつ、その独立と安定を保つことができました。