アメリカ大陸を初めて発見したヨーロッパ人といえば、イタリア出身のコロンブスが有名です(1492年にカリブ海バハマ=サンサルバドル島に上陸)。しかし実はその500年も前に「ヴァイキング」と呼ばれる海洋民族が、大西洋を超えてアメリカ大陸に到達していたことはご存じでしょうか?
|
|
|
|
ヴァイキングとは、中世ヨーロッパにおいて、北欧を拠点に海賊行為や貿易を生業としていたゲルマン民族のことです。ノルマン人(ノルウェー人の子孫)やデーン人(デンマーク人の子孫)とも呼ばれています。
彼らは8世紀頃からイングランドやフランク王国へ渡り、略奪・貿易とともに殖民を始め、デーンロウ、ノルマンディなどの定住地を作りました。そして一部はさらに西へ渡り、アイスランドやグリーンランドに入植を開始しています。
このように西へ西へと活動範囲を広げていったヴァイキングが、グリーンランドを超えてアメリカ大陸に到達していたとしても、何の不思議もありません。
アイスランドのサガによれば、10世紀末にアイスランドからグリーンランドへ数百人のヴァイキングが出発し、そのうちビャルニ・ヘルヨルフソンという商人がコースを外れ、3日間の漂流の末、見慣れない「西の土地(北アメリカ)」を発見しています。
そしてグリーンランドへ帰ったビャルニからその「西の土地」のことを聞いたレイフ・エリクソン(グリーンランドを発見した「赤毛のエイリーク」の息子)は、新たな植民地を求めて北アメリカを探検し、ヴィンランド・ヘルランド・マルクランドなどの土地を見つけているのです。
実際、レイフが見つけたヴィンランドがあった場所・・・カナダ北東部の「ランス・オ・メドー」遺跡からは、ヴァイキングが1000年前に入植していたことを示す痕跡(木片を分析したところ、ヴァイキングが利用していた金属の刃で伐採されていたことが判明するなど)が見つかっており、伝記の信憑性は高いと思われます。
以上、ヴァイキングはヨーロッパ人としてコロンブスよりはるか前にアメリカを発見していた・・・というお話しでした。ただしコロンブスの時代と異なるのは、ヴァイキング時代のヨーロッパ人の植民はことごとく失敗に終わり、結局のところ定住化にはいたっていないというところです。
これはヴァイキングが北アメリカの環境に馴染まなかったことや、先住民との衝突が多かったことなどが理由として挙げられますが、仮にもっとうまく殖民出来ていたとすれば、アメリカの歴史もヨーロッパの歴史も随分違った道を辿っていたかもしれませんね。
|
|
|
|