人々は太古から夜空を眺め、「宇宙」という存在については漠然と認知し、それは何でできているのか、どこまで広がっているのか考えていました。特に古代世界において最も先進的で、市民社会が成熟していたギリシャでは、宇宙観については自由市民の間で大いに議論されていました。
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正確には古代ギリシアにはまだ「天文学」という学問はありませんでした。当時宇宙観について議論を交わしていたのは、天文学者ではなく自然哲学者であり、以下はその中でもとりわけ著名な人物です。
古代ギリシアのピタゴラスは宇宙を秩序のある調和のとれたシステムとみる「コスモス」と呼ばれる宇宙観をもっていました。古代ギリシアでは大地は平らで、オケアノスと呼ばれる大洋に浮かんでいるという考え方が主流でしたが、ピタゴラスは初めて、大地が球体であるとする「地球球体説」を唱えています。
古代ギリシアでは宇宙の中心に地球があり、その回りを月や火星、太陽などの天体が回っている天動説が信じられていました。天動説を唱えたギリシャの学者として有名なのがプトレマイオスです。彼は天動説によって起こる惑星の運動の矛盾を「周転円」と呼ばれる考え方を導入することで解消しました。プトレマイオスが確立した天動説という宇宙観はその後長らく人類の宇宙観を支配し続けていたのです。
アリスタルコスは、古代ギリシアにおいて「地球が宇宙の中心ではなく、太陽の回りを回っている1つの天体に過ぎない」とする太陽中心説を唱えた学者です。現代では常識とされるこの学説ですが、当時はプトレマイオスの天動説が支持されたため、注目されませんでした。この学説が再び日の目に出るのは、「地動説」のコペルニクスが登場する2000年後まで待たねばなりません。
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