ドイツは二正面戦争回避、ソ連は時間稼ぎと勢力圏拡大を狙い条約を結んだ。英仏との交渉不調も締結を後押しした。本ページでは、さらに外交交渉の詳細や戦略的思惑などについても詳しく解説していく。

独ソ不可侵条約の風刺画
当時の風刺画は、イデオロギー的に敵対する両国の急接近を皮肉を込めて描いた。秘密議定書や裏切りの予兆を示す作品も多い。本ページでは、さらに風刺表現の背景や世論の反応などについても詳しく解説していく。
ナチスとソ連の同盟を皮肉る風刺画
上の画像はナチス・ドイツとソビエト連邦の間で結ばれた独ソ不可侵条約を風刺するために作られた風刺画です。「ハネムーンはいつまで続く?」と題され、1939年10月にアメリカで発表されました。
調べた限り作者は不明ですが、風刺画としての意図は明確です。見ての通りアドルフ・ヒトラーとヨシフ・スターリンが結婚式の衣装を着ており、「不倶戴天の敵」ともいわれた二人が急速に接近したことを、「結婚する」という形で表現しているのです。
そしてタイトルの「ハネムーンはいつまで続く?」というのは、この「蜜月」が所詮は一時的かつ偽善的な外交関係に過ぎないであろうことを皮肉ったものだといえるでしょう。
実際その予測は当たっており、1939年に署名された独ソ不可侵条約は、表向きには両国間の攻撃を互いに否定するものでしたが、あくまでもポーランド侵攻のための戦術的な動きに過ぎず、1941年にドイツ側から破られることになるのです。
この作品は、当時の政治的な緊張と、世界的な影響を考慮に入れた上での、深いメッセージを持つ政治風刺の一例といえるでしょう。
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